10年の変遷を見つめてきた専門家による「データ」の潮流
NTTデータグループのコンサルティングファームとして、2009年7月1日に設立されたクニエ。顧客企業の『変革のパートナー』として、多彩なプロフェッショナルが複雑かつ高度な経営課題に対して様々なソリューションを提供し、企画・構想から業務の定着化や効果創出までを手掛ける。経営・事業戦略からIT導入まで網羅的にコンサルティングサービスを提供する同社で、小林氏はデータマネジメントおよびデータガバナンスソリューションを専門としている。
「DXやビジネスエコシステム、プラットフォームビジネスなど先進的なビジネスにおいて、現状把握や予測および的確な意思決定のためには“データマネジメント”が欠かせません。そして、その運用にはデータガバナンスが必須となります。具体的には、『ビジネスや組織であらゆるデータを迅速につなぐこと』『データを高品質な状態に維持し続けること』、そして『意思決定しやすいようデータを可視化すること』が求められています」(小林氏)
データの利活用には体系的なデータマネジメント施策が必要であり、アーキテクチャの最適化や目的に応じた統合化、データの整流化・見える化、品質の向上、データガバナンス、データを扱う人材育成など、取り扱う内容も多岐にわたる。クニエでは、これらを体系的にデータマネジメントソリューションとして展開し、全体の組み立てを決める「構想策定」から、データアーキテクチャの策定、データガバナンスの計画、そしてMDM(マスタデータ管理)などの個別設計・導入まで幅広く支援している。製造業やサービス業などはもとより、研究所、農林業や水産業まで、業種・業態を問わず多くの顧客企業を抱えているという。
そのシニアマネージャーとして当該領域を牽引する小林氏が、データマネジメントに出会ったのは10年ほど前まで遡る。データマネジメントの知識体系である『DMBOK』[1]の日本語版が2011年に発行され、概念として導入されたばかりのころだという。その直後から、小林氏はITコンサルタントしてデータマネジメントやシステム企画などに関わり、その変遷を見つめてきた。
「データマネジメントやデータドリブン経営という言葉が一般化する前にも、『データ統合』などのキーワードが注目された時期があります。ただし、システムが乱立する中で、基幹システムを含めた機能統合が必要というコンテキストであり、データ活用というよりも業務やシステムの統合や効率化がテーマでした。現在は、クラウドが発展し、データを大量に蓄積して取り扱えるようになっただけでなく、AIなどの進化でデータ分析、データ活用が行いやすくなってきています。今まさにデータ活用の価値が再認識され、『ビッグデータ時代』や『データの民主化』といった言葉にも象徴されるように、これからは限られた人だけでなく、誰もがデータを活用して自身の業務や職能に役立てることが主流になっていくでしょう」と小林氏は語る。
[1] 「Data Management Body of Knowledge」の略称であり、非営利団体DAMA Internationalによって策定されたデータマネジメントに関する書籍。データマネジメント協会 日本支部(DAMA Japan)から日本語版も提供されている。