保守から解放され、創造的な取り組みができるように
では、短期間での導入の裏側で、実際にユーザー側はどのようにSnowflakeを見ているのだろうか。
「実は当時Snowflakeさんの知名度は社内でそれほど高くなく、逆風が吹きました」と日影氏は苦笑する。PoCの結果を見せ、実際に触ってもらって理解を得ている中で、Snowflakeの名前も少しずつあちこちで聞かれるようになり、風向きが変わったのだそうだ。
特にユーザーから評価された点として、速度、使い勝手などが挙げられるという。「何かツールを使いたいとなったとき、Snowflakeのオープン連携が役に立っています。これまでなら開発期間をかけていたものがかなり短縮され、ユーザーが使いたいときにすぐに提供できます。ユーザーにとってタイム・ツー・マーケットは重要。そこに貢献できていると感じます」と日影氏は話す。
また、Snowflakeでなければ実現できないことも増えている。日影氏が活用例として紹介したのは、機械学習やAIだ。「ユーザー部門の担当者は、さまざまなツールを経由してSnowflake上のデータにアクセスしており、最近では機械学習やAIの学習をしたいという要望も出てくるようになりました。オンプレミスのときには、取り扱うデータ量が多いため転送だけでも多くの時間がかかっていましたが、Snowflakeを利用することでリアルタイムに近い形で学習でき、それをすぐに施策に活かすことができます」。実際に、データマーケティングチームの作業を1~2営業日短縮できている例が増えているそうだ。
運用側も大きなメリットを感じている。「SaaSという特徴を活かしてフルに拡張できるため、使いたいときに使えますし、我々が面倒を見る必要もありません。サーバーの状態を監視するという作業からも解放されました」と日影氏。時間が浮いた保守要員メンバーが、先進的な取り組みを進めるようにシフトしているのだそうだ。
データ活用により社会をよくしていきたい
あらためて「DATA DRIVER OF THE YEAR」受賞について日影氏は、「暗中模索で一気に走ってきました。このような賞をいただいたことで、我々の取り組みは間違っていなかったと全員で喜んでいます」と笑顔で話す。
今後は、NTTグループ内でも広がりつつあるSnowflakeの利用を受け、Snowflake間でデータメッシュを作成するという構想も立ち上がりつつあるという。「それぞれがオリジナルデータをしっかり持ちながら、それを使える環境をつなげていくという世界を実現したい」と日影氏。「データの世界では日進月歩で新しいツールが出てきています。Snowflakeにはそれを安全に試すことができるサンドボックスのような機能があるので、その検討を進めています」と続ける。
最後に日影氏は、「ドコモだけではなく、データを使う人たちは皆、データを使ってより良い社会にしたいという思いをもっています。Snowflakeさんにはぜひ、中心的な役割になって我々が学びを共有できるようにしていただきたいですね」と期待を語った。