2022年12月7日、SAPの最新テクノロジートレンドを紹介する「SAP TechED Japan」が開催された。11月にグローバルで開催されたSAP TechEDでの発表を、日本のエキスパートが独自視点で解説を行った。発表の目玉の1つがノーコード、ローコード開発のSAP Buildの新機能だ。さらに“Suite Quality"と呼ばれるクラウドアプリケーションの統合戦略の進化、SAP S/4HANAの拡張開発、インテグレーションの進化などがあった。
ノーコード、ローコードツールの市民開発の実現で俊敏性を得ることが重要

SAP Buildはアプリケーション構築のSAP Build Apps、プロセス自動化のSAP Build Process Automation、ビジネスサイトのデザイン機能となるSAP Build Work Zoneの3つで構成される。SAP S/4HANAなどアプリケーションで実現されるビジネスプロセスには、変わらないものと変えるべきものがある。「変えるところをSAP Buildのノーコード、ローコードで対応します」と言うのは、SAPジャパン Business Technology Platform事業部 事業部長の岩渕 聖氏だ。
変えるべきところがどこか、それをいち早く察知できるのはIT部門のエンジニアなどではなく現場のビジネス担当者だ。「たとえば入社手続きというプロセスは変わりませんが、コロナ禍以降はそれを出社しなくてもできるようにしたい。ここは変わるところです」と岩渕氏。
変えるべきところが分かれば、それをなるべく早くに改善したい。それを現場担当者がノーコード、ローコードで実現できれば、組織には俊敏性が得られる。SAPジャパン バイスプレジデント インダストリ&カスタマーアドバイザリ統括本部 本部長の織田新一氏も「現場レベルでの俊敏性の獲得は重要です。とはいえ、なかなか俊敏性を獲得できないのが日本企業の課題です」と指摘する。

変えるべきことがユーザーインターフェイスレベルだけなのか、あるいはバックエンドのデータモデルなども含めるべきか。SAP Build Appsではこれまで、ユーザーインターフェイス部分の開発には対応できた。今回は新たにバックエンドデータモデルやビジネスロジックもノーコード、ローコードで開発できる「Visual Cloud Functions」が新たに追加されている。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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