新たな価値創造に向け、大手企業がITフリーランスに注目
今、ITフリーランスの活用状況が加速度的に進んでいる。「新興ベンチャー企業が活用していたフェーズから、IT・ビジネスの市場全体へと波及して定着化しつつあります。国としてもジョブ型雇用を推進しており、IT人材の不足が顕著になっている状況から、フリーランス人材を登用する企業が増えています」と切り出すのは、レバテックにおいてフリーランス支援領域の責任者を務める小池澪奈氏。ITフリーランス支援機構の理事も務めている人物だ。
同社がITフリーランス支援事業を手掛けたのは2005年初頭。当時はまだ、ブランド力を持たないスタートアップ企業がIT人材を確保するために利用していた。そこから時が経ち、成長著しいメガベンチャーがフリーランス人材の活用を開始すると、2020年頃には、大手企業における需要も生まれはじめたという。
大手企業向けにフリーランス人材を提案している、同社 安本敦子氏は「いわゆる大手企業においては、システム開発をITベンダーに委託することが一般的でした。しかし、2018年頃からデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されるようになると、システム内製化や新規事業の立ち上げがトレンドとなり、状況は変わっています。企業自らが新しい価値を創出するフェーズへと移行するため、フリーランス人材の専門性を活用したいとの問い合わせが増えてきました」と説明する。
もちろん、以前から中小企業やSIerにおけるプロジェクトでは、フリーランス人材が起用される光景は見受けられた。特に派遣社員の代替として、情報システム部や社内ネットワークの構築など、比較的役割が明確に定められたタスクを依頼するようなケースだ。しかし、ここ数年で上流工程やDX課題に基づく依頼が増えており、定型業務ではなく、解決策の検討と提案から共同するようなケースが増えているという。
「DX推進やAI活用などが経営課題となった今、それらに特化したスキルを持つ人材を社内だけで確保することは難しいでしょう。そのため、“プロフェッショナル人材に依頼する”という形で、フリーランス人材の需要が高まってきました。さらに最近では、プロジェクト予算にフリーランス人材との契約費用が組み込まれることも珍しくありません」(小池氏)