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SAPは“第一推奨”の勤怠管理に「チームスピリット」を選定 約30社のパートナーにより導入進むか

HCMに求められるのは効率化ではなく、企業全体の「生産性向上」に

 「働き方改革」で多様なワークスタイルを実現する。その動きはコロナ禍を経て、一気に加速した。柔軟な働き方を実現できなければ、優秀な人材の確保もままならない。

「人事領域のDX」が経営の重要課題に

 約4,000社の上場企業に対し、2023年3月期決算以降の有価証券報告書に人的資本情報の記載が義務づけられた。これにより、従業員が持つ能力を資本として捉え、それを今後の事業戦略に生かす必要も出ている。これらを推進するためになくてはならないのが「HCM(Human Capital Management)」のアプリケーションだ。

 WorkdayやOracle Fusion Cloud HCMなど、多くのプレイヤーで市場が過熱する中でタレントマネジメントとしてスタートし、HCM市場の一角を担うのがSAP SuccessFactorsだ。同社はSuccessFactorsとして2001年に米国で創業、2012年2月にはSAPに買収されている。SAP内で各アプリケーションの融合が進んだ今、「SAP SuccessFactorsがタレントマネジメントから人事給与まで、HCM関連のすべてのソリューションを包括してパブリッククラウドで提供しています」と説明するのは、SAPジャパン バイスプレジデント 人事・人財ソリューション事業本部長の森太郎氏だ。SAP SuccessFactorsの顧客はグローバルで既に1万社の規模であり、クラウド型の人事統合ソリューションとしては確固たるポジションを築いている。

 日本でSAP SuccessFactorsの事業責任者を勤める森氏は、国内のHRテックの動向を振り返ると、ここ10年ほどは旧態依然としていた人事部門のグローバル化、人事制度のDXに時間を費やしてきた大手企業が多いと話す。当初は人事システムにクラウドを利用する、あるいは新たにタレントマネジメントシステムを導入することに抵抗感があったという。そのためSAP SuccessFactorsを最初に導入したのは、先進的なグローバル企業が中心だった。そこから価値が徐々に伝播していき、今では働き方改革や人的資本情報の開示などで潮目が変わり、追い風が吹いている状態だ。

 森氏は「ここからの数年は“AI”が成否を握ると考え、SAPジャパンでは『2024年は“ビジネスAI元年”』だと捉えています。そして、我々のプロダクトの中で最もAIの活用が進んでいるのがSAP SuccessFactorsに代表されるHCMの領域です」と述べる。実際に採用やコンピテンシーにかかわる機能では既にAIが実装されており、今後はより幅広い人事業務での機能追加が進むだろう。

SAPジャパン バイスプレジデント 人事・人材ソリューション事業本部長 森太郎氏
SAPジャパン バイスプレジデント 人事・人財ソリューション事業本部長 森太郎氏

 ところで、前述したように人事統合ソリューション市場は、SAP SuccessFactorsだけが牽引している訳ではない。WorkdayやOracleだけでなく、国内にも多様なパッケージ製品がある。そのような中でSAP SuccessFactorsは、フルクラウドで統合的に機能提供している優位性を活かしていく。実際、グローバル企業では人事統合ソリューションの導入は進んでおり、その市場は広がりを見せている。これは組織がグローバリズムに対応するために必須だからだ。加えて、人事部門も変革すべきとの危機感もある。結果的に「これまで以上に人事統合ソリューションから得られるデータに対して経営層は期待を寄せていますね。人への投資が求められており、実践には“人材の可視化”が不可欠です」と森氏は話す。

 現状、グローバルの先進企業と比較すると、日本企業の生産性は低いと言われている。グローバル市場で生き残りたいと考えている日本企業は、急ぎ人材のスキルを向上させ、個々の能力を可視化し伸ばすことで生産性を上げていく必要があるだろう。あるいは、リスキリングなどで必要な人材を育てていくことも求められる。

 たとえば、50代の人材をどのように活用し、30代の人材をどう育成すれば良いのか。それを見極めるためには、従業員がもっているスキルや能力を明らかにしなければならない。その上で個々のキャリアパスを示し、適切に育成していくためにも、やはりHCMは極めて重要になるだろう。

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“SAPの第一推奨” なぜ勤怠管理はチームスピリットに?

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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