東芝テックは、生成AIの「トランスフォーマー」によるリテールプロモーション最適化AIソリューションを開発した。
同ソリューションは、POSデータから顧客の好みや反応をAIに類推させ、個々の顧客とPRの組み合わせによる売上や利益のシミュレーションを行うもの。また、利益最大化を目標として、数理最適化問題を解き、最適なクーポンやポイントの配信を実現するとしている。
これまで、過去の購買・行動データなどをもとにパーソナライズされたプロモーションを実施することが、リテール分野で広く浸透してきた。しかし、これらのような従来手法では過去に購買が少ない消費者へのプロモーション最適化が困難であり、多くの場合はベストセラー、購買済み商品やその類似品、またはあえて新規性のある商品を提案するレベルにとどまっているという。
このような課題に対して、東芝テックは「トランスフォーマー」モジュールをレコメンデーション・モデルそのものに組み込み、消費者ごとの購買履歴に加えて、顧客属性や商品属性、店舗属性などの情報を統合し、消費者の好む商品を推論できるようになったとしている。
また、「顧客×商品別」の組み合わせで、クーポンを送った場合にどれだけ利益が増加/減少するのかを計算し、利益総額が最大化される組み合わせを推定できるようになったと述べている。
同社は、このソリューションが業界における販促活動の効果測定や原資の有効活用に貢献するほか、顧客志向分析やOne to Oneソリューションの実現に向けた顧客反応分類が生成され、顧客志向の全体像可視化の弾みになるとしている。
プロモーション最適化ソリューションの構成要素
4つの主要な機能から構成されており、以下の「1」にトランスフォーマーを用いているという。
- 消費者一人ひとりの購買に至りやすい商品を、消費者と商品すべての組み合わせで予測する
- 消費者一人ひとりのプロモーション別商品別の反応度を予測する
- 各消費者に各々のプロモーションを発信した際の売上・利益の変化をシミュレーションする
- プロモーション投資額に限りがある中で、膨大な組み合わせの中からどの消費者にどのプロモーションを発信すると経済効率性が高く、利益総額が最大化されるのかをシミュレーションし、配信する
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