属人化した手順が生んでいた40%のムダ
現在、IT部門には大きな変革が求められている。その背景として野村総合研究所(NRI)の應和周一氏が第一に挙げるのが、コスト削減の要請だ。同時にIT統制への着実な対応も必須で、IT部門は個別受託開発型の「システム屋」ではなく、「ITサービス・プロバイダー」へと変革しなければならないという。
應和氏は「改善のために大きな流れでPDCAサイクルを回していくのは重要だが、大きな変化が求められているからこそ、着実な現場レベルでの改善が重要になる」と指摘する。その取り組みの事例として紹介されたのが、NRIおける取り組みだ。
NRIではサーバー数の増加に伴い、多数の運用手順が生まれてきた。運用管理負担の高さを象徴しているのがイベント、管理ツールが上げるトラブル報告の洪水だ。2004年には月間イベント数が数十万件ものアラートが上がっていた。
ただ調べてみると、その中で40%は開発担当者が「念のために入れたアラート」など無視しても構わないイベントだった。つまりその分、運用担当のオペレーターに継続的に高負荷をかけていたことになる。当然、対応する開発部門の生産性も低下していたという。