BIは14 年前から手掛けている
ここ2年くらいの間にメジャーなBI(Business Intelligence)ベンチャー3社がIBM、オラクル、SAPの大手3社に買収され、基幹業務系システムや大規模データベースにBIを組み合わせたソリューションが、様々な企業に提案、導入されている。
そのような動きもあり、現状では、大規模エンタープライズの分野では何らかの形でBIツールの導入が進んでいるといっていいだろう。それゆえ、提供側には、次は何を提供すればいいのか、といった悩みが出てきている。また、ユーザー側には、どんな活用をしていけばいいのか、あるいは、どの製品も似たようなセールスで違いがわからない、といった反応があるという話も耳にする。
このようなBI市場において、ジールは独立系という立場を生かして、多様なBIニーズに対して幅広い選択肢から最適なシステムやソリューションを提供したいと考えている。業務や業種ごとに最適な基幹システムとBIシステムの組み合わせやそのノウハウについては、マルチベンダーでソリューションを手掛ける独立系ならではの強みとなる。これは、14 年前からBI システムを手掛けているジールならではの戦略だ。
アプローチとしては、このソリューションがあるからではなく、ユーザーのニーズが第一であることを最優先する。市場がBIに何を求めているのか、それに最適なシステムの組み合わせやソリューションはどれか、を考えるのだ。また、ジールでは、BI戦略研究所というグループ企業があるが、ここではまさにニーズに対する最適なソリューションの分析、開発、コンサルティングなどを行っている。
ユーザーは分析結果より具体的な行動を知りたい
先程、BI システムを手掛けたのは14 年前と述べたが、当時はまだBIという言葉はなかった。データウェアハウスという言葉で、蓄積されるデータをどのように意思決定に活用できるかを考えていた時代だ。莫大な予算をかけて構築した基幹業務システムも、帳票を出力するためだけに使用されているとしたら、これは非常に勿体ない話ではないだろうか。
蓄積される膨大なデータは、経営戦略にとっては宝の山のはずである。もちろん、当時でも業務の局所的なデータ解析ツールやプログラムは存在していたが、ビジネス全体を見据えた分析を行うものは少なかった。
データウェアハウスは、蓄積したジャーナルデータを保管し、それをレポートする機能からスタートした。続いて、単純なレポートから分析が行われるようになったのち、バックエンドのDBMSとの連携強化やパフォーマンスチューニングが行われ、現在ではかなり安定したBIプラットフォームが確立されている。
そして、BIシステムの分析結果をグラフィカルなレポートにしたり、ダッシュボード機能が経営の状態を信号表示のように色で表示したりしてくれるような機能も、一般的になってきている。ただし、この段階では、これらの結果を見て実際にとるべき行動を決めるのは人( 経営者) だ。OLAP(Online Analytical Processing)も、最終的にはどのような行動を起こすかは人が判断しなければならない。
しかし、これからのBIシステムは、高度なデータマイニングによる分析結果に応じた次の行動(Action)を、示してくれるようなものが求められている。大部分の経営者やマネージャにとっては、データの詳細な分析結果よりも、何をどれくらい売ればいいのか、いつ売ればいいのか、どこで売ればいいのか、といった直接的な結果や指示のほうが楽であるのは自明だろう。市場のニーズはここにあるといってよい。
例えば、データマイニングの話では、「紙オムツとビール」の逸話が有名だが、紙オムツの購入者はビールも同時に買っているという分析データが出ても、実際に、ウォルマートでは、それによってどのように陳列を変えたのか、売上が本当に伸びたのか、そこまで踏み込んだ話はあまりされていない。そもそも、それは事実だったのかさえ検証できない状態といってもよいだろう。そして、このような状況は、BIシステムの現状と今後を示唆しているように思える。
事実、IBMはデータマイニングのベンダーであるSPSSを2009年7 月に買収している。おそらく他の企業も、意思決定の指標となる分析データよりももっと踏み込んだ行動を示すような、BIシステムを検討しているはずだ。