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Workday Rising

なぜWorkdayは日本市場に情熱を注ぐのか──CTOが日本企業の“変革”に感じた課題・可能性とは?

ERP市場の次なる競争の鍵、Workdayはどこへ向かうのか。日本特有のニーズにどう応えるか?


 企業の財務管理や人事管理を統合的にサポートする、エンタープライズマネジメントソリューションを提供するWorkday。同社は2024年9月16日から19日にかけて、米ラスベガスで年次イベント「Workday Rising」を開催した。2025年初頭に一般提供予定の「Workday Assistant」をはじめ、既にリリースされている次世代AI「Illuminate」や4種のAIエージェントなど、複数のAI機能が発表され注目を集めた今回のRising。ラスベガスにて、同社CTOのデイヴ・ソヒジャン(Dave Sohigian)氏に、WorkdayのAI戦略やその根底にある狙い・価値観、グローバル市場における日本の位置づけ、そして企業の変革に必要なエッセンスについて話を伺った。

Workdayが実現する“変革”は、きっと日本市場にとって価値がある

──今年のRisingで発表された「Workday Assistant」と「Illuminate」がどのようなものか、教えていただけますか。

ソヒジャン氏:まずはWorkday Assistantについて。これは、生成AIによるチャット型インターフェースのAIアシスタントです。ChatGPTやGeminiなどの大規模言語モデル(LLM)を基にリクエストを解釈し、さらにWorkdayの小規模な言語モデルや機械学習モデルを組み合わせることで、特定の顧客ニーズに応じて調整しています。

 この仕組みにより、ユーザーは自然言語を用いて人事や財務に関する情報を得られます。一般的な推測ではなく、具体的な情報です。位置づけとしては、「エージェント機能の一環」とするのが適切でしょう。AIが皆さんの質問を正確に理解し、最適な形で回答してくれるはずです。

 次に、Illuminateについて。これは、Workday Assistantに搭載された“次世代AI”です。今回のRisingでは、Illuminateを「Accelerate(加速)」「Assist(支援)」「Transform(変革)」の3段階で展開していくことを発表しました。“Accelerate”は業務プロセスの加速を意味し、“Assist”は業務プロセスをより良いものへと改善することを指し、“Transform”には既存の在り方を根本的に変えるという意味が込められています。

 我々Workdayは、既存のプロセスを見直し、まったく新しい方法で、これまでと同じ目標を達成できる可能性を追求しています。つまり、既存のプロセスを単に速くするだけでなく、そもそも「そのプロセス自体が必要かどうか」を見直すことも、常に選択肢として考えています。これは、日本市場にとって非常に価値があると考えています。

──なぜでしょうか。

ソヒジャン氏:特に、日本企業における人事の分野にフォーカスして見ると、一部の先進的な企業はグローバルな視点を持つ一方で、多くの伝統的な企業では、新卒を一括採用した後、社内で複数の部門をローテーションしながら、いつまでもその会社で働いていくことが期待されていますよね。

 しかし今、多くの企業がその伝統を刷新しようとしています。伊藤邦雄教授の『人材版伊藤レポート』(経済産業省)をご存じでしょうか。このレポートには、個人が特定の分野でキャリアを築くための、新たなアプローチの必要性が示されています。

 ここではレポートの内容について詳細は述べませんが、そのアプローチを実現するためには、単に現行の人事制度や方法を変えるだけでは不十分で、経営改革としてまったく新しいプロセスを構築することが求められています。

──おっしゃる通り、多くの日本企業が将来の持続的な成長に向けて、長年続けてきた経営の在り方を変革しようとしています。

ソヒジャン氏:日本は高齢化による人口減少が不可避であり、既に若い世代の労働力は減少し始めています。「企業の将来を担う、貴重な若い世代」が。

 そして、彼ら彼女らが築きたいと考えているキャリアは多種多様です。専門的な道を進みたい人もいれば、一般的な型にはまらないキャリアを想い描く人もいるでしょう。ずっと同じ会社、同じ職種で働きたいという人も、以前ほど多くありません。しかし、伝統的な日本企業の世界では、長年そこで勤めなければ良いキャリアを積むことが難しいのが現状です。

──だから、Workdayがもたらす変革が「日本市場にとって非常に価値がある」と。

ソヒジャン氏:そういうことです。Workdayの独自性は、「異なるアプローチを提供できる」点にあります。企業は現行の採用方法を見直し、従業員がもっと自律的にスキルを伸ばし、キャリアをマネジメントできる仕組みを導入すべきです。“人”がさらに貴重な資本となっていく時代には、在籍年数ではなく、スキルで評価するべきなのです。

 私は今年、日本へ行き様々な企業やコンサルティング会社を訪ね、現場の課題に触れてきました。日本企業は今、間違いなく転換点を迎えています。Workdayは、この変革を実現するための、いわゆるTransformの部分で、明確な道筋を提供できると私は考えています。

──Workdayは、2023年に日本とAPAC(アジア太平洋地域)のビジネスユニットをわざわざ分割していますし、日本市場にはかなり熱心な印象です。

ソヒジャン氏:おっしゃる通りです。CEOのカール・エッシェンバックはVMwareでCEOを務めた経歴を持ち、日本市場の重要性と独自性を深く理解しています。ですから、私たち幹部陣も日本市場への理解を深めるよう求められています。変革の最中にある日本は、それほど私たちにとって大切な市場なのです。

次のページ
Workdayの優位性の源、「実用性」と「一貫性」

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

2022年よりBiz/Zineで取材・編集・執筆を担当。2024年4月、EnterpriseZine編集部に加入。サイバーセキュリティ、データサイエンス等に携わる方、テクノロジーによる変革を牽引するCIOやCDO、CISOに向けた情報を発信します。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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