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乱立したデータ基盤のモダナイズを1年でやり切る──ルネサス エレクトロニクスがAIとの統合環境に移行

“無茶なプラン”でも成功できた、3つの要因

モダンデータプラットフォームへの移行を1年で実行

 ナラキ氏は、ルネサスにおけるAIおよびデータアナリティクスの「ゴール」と「ミッション」を以下のように示している。

  • ゴール:従業員が組織内のどこにでも保管されているデータを活用して、迅速かつ簡単に明確な洞察を得ることができるようにし、情報にもとづいた、タイムリーで関連性のある意思決定を下し、会社の業務を革新し、向上させることをめざす
  • ミッション:セキュアなガバナンスを効かせたエンタープライズインフラストラクチャを実装し、データアナリストやデータサイエンティストが簡単に理解し、利用できる信頼性の高いデータと迅速なアドホック分析に使える未加工データを提供、さらに効率性を向上させるために、従来のML/AIと生成AIサービスも提供

 そして、このゴールとミッションを実現する基盤を「モダンデータプラットフォーム(MDP)」と定義。MDPが備えているべき特徴として以下の6つを挙げている。

  • セキュア(Secure)
  • 柔軟性(Flexible)
  • ガバナンス(Governed)
  • 高性能(Performant)
  • 最適化(Optimized)
  • 監視(Auditable)

 「6つの要素はどれも重要だが、セキュリティにはかなりの重きを置いた。また、柔軟性に関してはデータ(BIおよびデータサイエンス)とAIが同じ環境で使えることを前提にしている。さらに、GPUを中心とする高性能ハードウェアが最適なパフォーマンスを発揮できるように注力した。とくにGPUは賢く使わないとコストが無駄に高くなってしまうことから、注意深く検討した」(ナラキ氏)

 この6つを備えた、2万人のグローバル従業員が利用するモダンデータプラットフォームの構築に向けて、ルネサスはデータ+AI基盤のパートナーとしてDatabricks、そしてクラウドパートナーとしてMicrosoft(FastTrack)を選んだ。ルネサスが提示した導入までの期限はわずか1年、ナラキ氏は「相当無茶なプランだったとは思っている」と当時を振り返る。

 要件定義とアーキテクチャ設計(選択)がスタートしたのは2023年10月。そこから4ヵ月かけて3社でMDPのイメージを明確にしていき、続いて2024年2月から4ヵ月、ルネサスの内部スタッフとDatabricksのコンサルティングがアーキテクチャの実装を行った。ただし実装に関しては「ほぼルネサスの内部スタッフが担当し、Databricksにはサポートに徹してもらった」(ナラキ氏)という。

 2024年5月からはデータ取り込みパイプラインおよびデータ移行の開発(5ヵ月)に入り、さらに6月にはデータ変換およびデータ提供/レポート作成のための環境構築(5ヵ月)、プロジェクトの最終段階に近い10月には受け入れテスト(UAT、2ヵ月)をスタートさせている。7月には一部の社内ユーザーに対しMDPのサービス提供を開始、これと同時にチャットライクな環境でLLMのテストやプロンプト入力ができる「Databricks AI Playground」や、Databricksプラットフォーム全体から分析情報を引き出す「Databricks AI/BI」、SQLエディタやAIアシスタントを使った生成AI開発を可能にするための従業員トレーニング(対象者約300名)を開始している。

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“無茶なプラン”を成功に導いた内部リソースの有効活用

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五味明子(ゴミ アキコ)

IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...

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