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IFRSをめぐる我が国の動きと企業グループに与える影響~マネジメントが知っておくべきこと

2009年6月の金融庁によるIFRSの採用に向けてのロードマップ公表を契機に、関係各機関による準備が本格化している。そうした中で、IFRSの採用を単なる会計の問題としてではなく、連結グループ経営管理の効率化・高度化を実現するチャンスととらえ、取り組みを開始する企業が増えている。企業のマネジメント層には、IFRSの採用について自社の明確な方針を定め、遅れることなく取り組むことが求められる。

IFRSをめぐる我が国の現状

 まず、IFRSの採用に向けた、関係各機関の動きを簡単にまとめてみたい。

 金融庁は、2009年6月30日に、「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」(以下、「中間報告」)を公表し、国際会計基準の採用に向けた展望を示した。また、金融庁は、2015年または2016年とされるIFRSの強制適用に先駆けて、2010年3月期より認められるIFRSの任意適用に向けて、連結財務諸表規則等の整備も進めてきており、2009年12月11日付で改正法令等を公表している。

 中間報告公表直後の7月には、財務会計基準機構(FASF)/企業会計基準委員会(ASBJ)、日本経済団体連合会(日本経団連)、日本公認会計士協会(JICPA)、㈱東京証券取引所グループ(東証)の4者を中心とする市場関係者の合意のもと、金融庁の支援を受けてIFRS対応会議が発足した。

 IFRS対応会議は、中間報告が提示したIFRS導入にあたっての課題に取り組むことを目的として、傘下に、IASB対応検討委員会、教育・研修委員会、翻訳委員会、個別財務諸表開示検討委員会及び広報委員会の5つの委員会を設けて活動している。(図1)に各会議体の役割を整理した。これを見ると、IFRS対応会議では、実務的な検討を進めて行こうとしている姿勢がお分かりいただけるだろう。

図1 IFRS対応会議の会議体と役割

 一方、日本経団連は、IFRS導入準備タスクフォースを組成。住友商事、伊藤忠商事、キヤノン、KDDIなどをはじめとする大手企業21社が具体的な検討を始めた。このタスクフォースは、IFRS導入にあたって現場で直面している問題点を抽出し、参加者が共有することによって、IFRSの任意適用企業等における円滑な導入のサポートと、不必要な導入コストの抑制という2つの目的を達成することを目指している。

 また、東証は、10月30日付で「国際会計基準(IFRS)の適用に向けた上場会社アンケート調査結果の概要」を公表。4月6日に日本経団連が公表した加盟企業に対するアンケート結果と比較すると、半年の間に、IFRS導入に対する企業の意識が高まり・取組みも進んでいること分かる(図2)。また、IFRSに関するセミナーの開催等により上場企業に対する啓蒙活動を進めるとともに、IFRSに基づく開示書類ひな型の整備にも取り組んでいる。

図2 日本経団連と東証のアンケート比較

 以上のような金融資本市場関係者の取組み以外に、経済産業省も、経済界、特に製造業の視点に立ったIFRSの採用についての検討が必要との認識のもとに、2009年11月より同省の企業財務委員会において議論を開始。同委員会へは、企業のCFOクラスの役員が委員として名を連ねている。

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IFRSは誰のための基準か

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この記事の著者

手塚 正彦(テヅカ マサヒコ)

1985年、東京大学経済学部卒業。1986年、監査法人中央会計事務所入所後、2005年10月より中央青山監査法人理事、2006年5月より同理事長代行を歴任。2007年10月に監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)入社、パートナー就任、経営会議メンバー、2008年4月より東日本ブロックIFR...

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