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企業価値の新スタンダード「IFRS」の動向と現在位置をつかむ


早ければ2015年にも強制適用が始まるIFRS。具体的な対応はもう少し先になりそうだが、IFRSの動向にアンテナを張っておくことは必要不可欠だろう。本稿では、1970年代から2009年12月末までの国際会計基準の動向をわかりやすく整理する。IFRSが辿ってきた経緯をつかんでいただきたい。

変化を続けるIFRS

 2008年6月、金融庁がアドプション(強制適用)のロードマップ案を示したことで、国内においてもIFRS(InternationalFinancial Reporting Standards:国際会計基準または国際財務報告基準)への関心が一気に高まっていった。同庁によれば、2012年にはアドプションの採否が最終決定し、その開始時期は2015年または2016年になる予定である。アドプションという強制力を持った指針が示された以上、対象となる企業は、遅かれ早かれ準備に着手しなくてはならない。

 コンバージェンス(融合、統合)からアドプションへの方向転換により、以降、金融庁の企業会計審議会やASBJ(AccountingStandards Board of Japan:企業会計基準委員会)が示す適用要件やガイドラインは、基本的にIFRS本体、すなわちIASB(InternationalAccounting Standards Board: 国際会計基準審議会)の定める会計基準およびその指針を全面的に踏襲したものとなる。

 ただし注意したいのは、根幹となるIFRS自体にいまだ変化や揺れが見受けられる点だ。IFRSは、策定にかかわる各国・各機関の意向や、世界経済の状況といったファクターによって変化する、策定途中の会計基準であることを念頭に置く必要がある。最近では、IFRSのコア概念の1つである包括利益の定義にも見直しが検討される動きもあり、論議を呼んでいる。

 以下では、そうした「変化を続けるIFRS」の方向性と現在位置をつかむため、本稿執筆時点(2009年12月末)までのまとめとして、英国(およびEU)、米国、日本における会計基準の主要な動きの整理を試みる。自社でのIFRS適用を主導する立場の読者におかれては、本稿の内容を踏まえたうえで、今後の継続的な情報収集、そして適用準備に取り組んでいただければ幸いである。

次のページ
IFRS関連動向ハイライト① 国際会計基準の夜明けとIFRSの登場

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この記事の著者

河原 潤(カワハラ ジュン)

ITジャーナリスト 明治大学文学部卒業後、教育系出版社を経て、1997年にIDG入社。2000年10月から2003年9月までSun/Solarisの技術誌「月刊SunWorld」の編集長を務める。同年11月、企業コンピューティングの総合情報誌「月刊Computerworld」の創刊に携わり、同誌の編...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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