Agent BuilderでJoule Agentsのカスタマイズも可能に
Joule Agentsの提供にあたっては、SAPは多くの最新テクノロジーが取り入れられた。その代表例が2024年10月にオンラインで行われたSAP TechEdで発表されたSAP Knowledge Graphだ。Joule Agentsは、SAP Knowledge Graph を通してSAP Business Data Cloudのデータプロダクトにアクセスし、ビジネスの文脈に沿ったマルチタスクワークフローを実行する。フィリップ・ハーツィヒ氏(SAP CTO兼Chief AI Officer)は、「SAP Knowledge Graphは、自然言語とSAP Business Data Cloudをつなぐ接着剤のようなものと考えてほしい。Joule Agentsは、複雑なビジネスプロセスの実行に協力してくれるとても有能な"バーチャル同僚"になる」と解説した。
また、「私たちはSAP Business Suite全体で機能するエージェントのコラボレーションシステムを設計し、あらゆるビジネス機能をサポートするようにした。そのため、何十億ものAIエージェントを動かす必要はない。適切なスキルを持ち、適切なデータに基づき、適切なガイダンスを受けて行動するAIエージェントを、適切な場所に配置する。そうすることで、部門の壁を越えたシームレスな連携が可能になる。現実の世界と似ていて、チームの規模には意味がない。チームのスキルの質と多様性こそ、ビジネスで成果を出すために必要な要素である。Joule Agentsでも同じことが言える」と語った。
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Joule Agentsはワンクリックで利用可能である。SAPは「スイートファースト戦略」の下、 Joule Agentsをスイートの一部として提供する。とはいえ、 SAP以外のアプリケーションのデータを使って拡張したい企業のニーズも理解している。そのために提供するのが、Joule StudioのAgent Builder機能だ。この機能を使い、企業は自社固有のビジネスプロセスに合わせ、カスタムAIエージェントを構築し、展開できるようになった。
SAPのアプリケーションでは、Out-of-the-Boxで提供するJouleのスキルを1,300以上用意している。加えて、Joule Studio上で、独自スキルの定義もできるようにした。ビジネスユーザーは、ノーコード開発ツールを使うのと同じように、スキルライブラリーのJoule Skillsにアクセスし、Joule AgentsやカスタムAIエージェントのスキルの編集や拡張ができる。
Joule Agentsは、SAP Knowledge GraphやSAP Business Data Cloudのデータプロダクト、ビジネスプロセスを支えるSAP Business Suiteのアプリケーションと直接やりとりすることもできる。外部連携のためのツールやコード生成のような汎用ツールにもアクセスできる。SAP Business Data Cloudの提供開始で、SAP Business AIにとっては、次の飛躍につながる強固な基盤が整ったことになる。
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