SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

  • ニュース
  • 新着記事一覧
  • Security Online
  • DB Online
  • イベント

    【開催予定】EnterpriseZine Day 2025 Summer
    2025年6月20日(金)オンライン開催

    HR×Data Forum
    2025年5月27日(火)オンライン開催

    • SaaS ERP最前線──適者生存の市場を勝ち抜く企業はどこに

      SaaS ERP最前線──適者生存の市場を勝ち抜く企業はどこに

    • IT部門から“組織変革”を~気鋭のトップランナーを訪ねる~

      IT部門から“組織変革”を~気鋭のトップランナーを訪ねる~

    • 酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記

      酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記

  • ブログ

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

【開催予定】EnterpriseZine Day 2025 Summer

2025年6月20日(金)オンライン開催

HR×Data Forum

2025年5月27日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

Security Online Press

日本人は無意識に“守られている”と勘違い?英国の現状と比較し見えた、日本のセキュリティ意識と課題

「サイバーリスクは経営ごと」という意識の“先”で必要なことは何か

 日本でも、セキュリティ・クリアランス制度の策定や、金融庁によるサイバーセキュリティに関するガイドラインの発行など、サイバー規制法の整備が進んでいる。このようなルールメイキングの分野において、先行しているのが英国だ。同国のセキュリティリテラシーや対策の現況について、ロンドンで政策立案のアドバイザリーなどに携わってきた足立照嘉氏に話を訊いた。

英国に浸透する、サイバー保険を“意識せざるを得ない”環境

 サイバーセキュリティの世界に、経営者として20年以上携わっている足立照嘉氏。英国政府から招かれ、ロンドンでサイバーセキュリティの専門家として、大手金融機関や政策立案のアドバイザリーなどを行ってきた経歴を持つ。現在、サイバーセキュリティ企業APRIO TECHNOLOGIES(アプリオ・テクノロジーズ)でCEOを務める同氏は、英国のサイバーセキュリティの現況をどう見ているのか。

APRIO TECHNOLOGIES LIMITED CEO 足立照嘉氏

 「英国はセキュリティリテラシーが高いと言われているが、その経緯には同国で盛んなビジネス市場が関係している」と同氏は語る。英国、特にロンドンは“リスク関連”における取引の中心地として、市場が成熟しているとのことだ。たとえば、ロンドンにあるロイズ・オブ・ロンドン(Lloyd's of London)という保険取引所では、世界の保険引き受けの半数以上が取引されている。

 また、ロンドンでは大航海時代から、航海に出る船が帰還できるかどうかを巡ってパブで賭け事が行われていたと足立氏。これは、実質的には現在の海上保険と似たような文化といえる。このような背景を踏まえ、サイバー保険に関する取引も盛んに行われてきた。

 「加えて、英国にはサイバー保険を必然的に意識せざるを得ない環境があります。というのも、同国では通常の商取引における契約書の中に、自社が入っている保険とそれによりカバーされるリスクなどを記入する欄があるのです。これは日本ではあまり見られない事象かと思いますが、こういった日常生活に根付いた部分から、セキュリティリテラシーが育まれているのだと思います」(足立氏)

 ほかにも、英国国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)によって開発された「サイバーエッセンシャルズ(Cyber Essentials)」というITセキュリティの認証制度があると同氏。この認証を取得しなければ、政府関連の案件に入札できない仕組みになっているという。つまり、入札のスタートラインに立つためには、サイバーセキュリティ要件をクリアする必要があるのだ。

「サイバーリスクは経営ごと」という意識の“先”で必要なこと

 このように、サイバーセキュリティの意識が日本よりも身近なところにある英国だが、国民全体のリテラシーの高さについては、日本と比較して劇的な差はないと足立氏は語る。ビジネスにおいて上層部の立場にいる者であれば、プライベートでもセキュリティを意識している人も多いだろうが、一般人のリテラシーにさしたる違いはないのが実情とのことだ。

 英国のエンタープライズ企業が抱えるセキュリティ課題についても、日本企業と大差はないと同氏。セキュリティ対策を進めたうえで、「次に何をすればよいか」悩んでいる企業が多いという。この問題を解決するにあたって障壁になることが、“ビジネスへの紐づけ”だ。

 たとえば、「CV○○番の脆弱性がこのIPアドレスのサーバーにあり……」などと経営層に説明しても、ではどこから対応すべきかという意思決定につなげるのは難しい。英国ではCISOを設置している企業も多く、CIOのセキュリティリテラシーも高まっているものの、その問題をうまくビジネスに落とし込める人が少ない傾向にあるとのことだ。

 「昨今、『サイバーリスクはIT部門固有の問題ではなく、経営課題である』という意識こそ浸透していますが、その先が広がらないという状況です。この状況を打破するために重要なのが、“優先順位付け”です。英国で、我々がお客様によく使う言葉として『クラウンジュエル(Crown jewel)』というものがあります。同国の国王や女王が被っている王冠の中で、最も価値が高いものは『王冠についている宝石』です。自社にとってのクラウンジュエル、つまり第一優先で守るべきことは何かと問いかけることが大切です」(足立氏)

次のページ
日本人は無意識に“守られている”と勘違いしている?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
Security Online Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

奥谷 笑子(編集部)(オクヤ エコ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/21679 2025/04/10 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング