データレイヤーからアクションレイヤーまで:Tableau Nextの4層アーキテクチャー
自律型分析とは、データユーザーがAIエージェントと協働し、データからインサイトを得て、アクションに至るプロセス全体のスピードを加速させる仕組みのことだ。伝統的なBIが得意としてきた静的な可視化から脱却し、データ準備やETLなどの時間のかかる作業をAIの力で省力化、より効率的なデータドリブンな意思決定を実現する。データアナリストはより深い分析に集中でき、ビジネスリーダーは自然言語で質問するだけで、即座に信頼できる回答とアクションの提案を得られる。
Tableau Nextが提供する自律型分析の仕組みは、「データレイヤー」「セマンティックレイヤー」「ビジュアライゼーションレイヤー」「アクションレイヤー」の4つが支えている。この4階層のアーキテクチャーを採用したことで、Tableau Nextはデータアナリストやビジネスユーザーだけでなく、Agentforceとも協働できるようになった。
一番下のデータレイヤーはオープンであることを特徴としている。データソースがどこにあっても構わない。また、AIエージェント時代には、ユーザーが人間の場合だけでなく、AIエージェントかもしれない。どちらの場合でも、目的のデータに正確にアクセスできるようにするには、オープンであることが重要だ。データレイヤーは、自律型分析の燃料になるデータを提供する。Data Cloudの機能を活用することで、ゼロコピーによる柔軟でシームレスなデータ接続を実現した。
また、AIエージェントがデータにアクセスするには、AIが理解できる形式でデータを管理しておくことが必要になる。そのためにデータレイヤー上に構築したのが、セマンティックレイヤーである。セマンティックレイヤーは、「Tableau Semantics」とも呼ばれる。組織でデータに関わる誰もが、データに対する共通理解を促進しつつ、データの一貫性を保ちながら、より速く重要なインサイトを発見できるようにする。
セマンティックレイヤーの上がビジュアライゼーションレイヤーである。このレイヤーはTableauの根幹でもある。Tableauが多くの企業から支持を集めることができた要因の1つに、同製品が常にモダンなルック&フィールで可視化の機能を提供してきたことがある。今もユーザーからのフィードバックを得て、可視化の機能を継続的にアップデートしている。エイティ氏は、「Tableau Marketplaceを提供することで、データ資産、接続情報、メトリクス、チャート、ダッシュボードなどのデータ分析コンポーネントを共有あるいは再利用できる」と述べた。
そして、Tableau Nextの一番上のレイヤーがアクションレイヤーである。ここでエイティ氏が強調したキーワードは「統合」である。エンドユーザーはどこにいても、どんなデバイス、どんなツールからでもデータからインサイトを得たいと考えている。例えば、オフィスの中にいる場合は当然として、外にいる場合はスマートフォンからインサイトを得たい。使い慣れたTableauからだけでなく、Slackでの会話の流れの中でインサイトを得たい。その相手は人間のこともあれば、AIエージェントのこともある。また、Salesforceのアプリケーションだけでなく、WorkdayやBoxのようなパートナーのアプリケーションでも同じようにインサイトを得られることが望ましい。Tableau Nextに組み込まれたワークフローエンジンは、エンドユーザーがストレスのない分析ができるよう、統合ワークフローを実現した。
