「Data Pro」「Concierge」「Inspector」:自律型分析を実現する3つのAIエージェント
続いてサウザード・ジョーンズ氏(EVP, Chief Product Officer, Tableau, Salesforce)が、デモの中で、Tableau Nextで利用できる3つのエージェントを紹介した。事前ブリーフィングで、ジョーンズ氏は「エージェントは、データを利用して仕事をする私たち人間に代わって推論をしてくれるソフトウェア」と説明していた。Tableau Nextが提供する「Data Pro」「Concierge」「Inspector」の3つは、いずれも推論という思考プロセスを代行しつつ、データアナリストやビジネスユーザーの仕事のスキルを拡張してくれるエージェントだ。

それぞれを見ていく。まず、Data Proは、生データをビジネスの言葉に翻訳してくれるスキルを持つ。従来、特定のデータソースから分析に必要なデータを抽出、変換、ロードするプロセスはETLと呼ばれ、データエンジニアの仕事の多くを占めていた。このプロセスを経て、ダッシュボードやレポートをビジネスユーザーが提供される。Data Proはこのプロセスを支援してくれるもので、ビジネスユーザーにとっては、より速くビジネスの意思決定に使うインサイトを得られることになる。
例えば、DataFam Kicksという会社が新しいスニーカー「Diego」を発売したとする。CMOの掲げる販売目標は「第1四半期で35,000足」と野心的だ。この目標を達成するため、マーケティングチームはキャンペーンを開始する。期間中、CMOから「販売目標を達成するために何ができるかを知りたい」と依頼された。
まず、データアナリストは、Tableau Next Workspaceを起動する。この中で、メディア支出に関連するデータソースを調べたところ、新しく2つのデータソースに接続する必要があるとわかった。1つはDatabricksに格納されているデジタルメディアへの支出に関するデータ、もう1つがBoxに格納されているソーシャルメディアのレビューである。
次にセマンティックモデルを作成する。エンドユーザーから見て、セマンティックモデルは、生データを社内のビジネス会話に翻訳するために利用できる。デモでは、既存のセマンティックモデルを見つけ、これを新しい2つのデータソースで拡張することにした。この時のポイントは「ゼロコピー」「ゼロETL」だ。実際のデータではなく、メタデータを利用する。
新しいセマンティックモデルを利用し、CMOに提供するのは、CPA(Customer Acquisition Cost:新規顧客獲得コスト)とソーシャルメディアの好意的なレビュー数である。自然文で質問を入力するだけで、Data ProはDatabricksの中の構造化データを使い、チャネルごとのCPAを計算してくれる。さらに、Boxに保存された非構造化データを解析し、Diegoモデルに関するポジティブな意見の数も算出する。