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IBM zが「レガシー」ではない理由──z17に見る、AI時代のメインフレームの生存戦略

相次ぐ競合他社の撤退、IBMが投資を続ける狙いとは

IBM zは「レガシー」ではなく、「先進AI基盤」へ

 進化を続けていった結果、z17は“AIで武装した”強力なメインフレームとなった。同製品のコンセプトや実績、機能を見れば、ビジネス上の目的を達成するため「AIを活用したい」と考えるときにも強力な選択肢となりそうだ。

 たとえば、企業に蓄積されている膨大な非構造化/半構造化データを生成AIで活用し、新たな知見を得たいだけならば、z17は必要ない。一方、業績に直結するようなプロセスを自動化したければ、基幹系システムに蓄積されたトランザクションデータが不可欠だ。事実、基幹系システムのデータをデータレイクなどに集約し、AIで活用しようとする企業は増えている。

 しかし、このやり方ではリアルタイム性の確保が難しい。また、データがコピーされるため、重複データも発生してしまい、アクセスコントロールやセキュリティの担保も必要だ。だからこそ、基幹系システムの近くでAIを活用することが求められている。

 これを実現するため、基幹系システムを刷新するアプローチもあるだろう。とはいえ、現時点で安定し、高い信頼性の下で動いている基幹系システムは、おいそれと移行できない。そもそもメインフレームで動いているような基幹系システムには、極めて高い信頼性や可用性の確保など、メインフレームで稼働させなければならない理由があるはずだ。

 そうしたジレンマを抱えている企業が多い中、z17のように基幹系システムの中でAIを活用できることは、かなり有効な選択肢となる。既存のメインフレームをAI活用のため、z17にいち早く更改する理由はありそうだ。なお、z17はAI機能が内包されているだけでなく、既にLinuxやRed Hat OpenShift、Ansibleなど、クラウドネイティブなアプリケーション開発のためのソフトウェア群も動かせる。それらをAI機能と組み合わせて、新しいAIアプリケーションをz17で構築・稼働させるなど、先進的な取り組みも実現できそうだ。

 とはいえ、いきなり新規でz17を主要なプラットフォームで採用する企業はまずないだろう。z14やz15など、旧世代のメインフレームを使っている企業に対して、AI機能の活用を目的として更改を促すことが導入のアプローチとなりそうだ。

 先述のイベントでは、メインフレームのIBM zを基幹系システムのプラットフォームとして先進的に利用する日本生命、トヨタ自動車の事例が紹介された。彼らは比較的速いペースでIBM zを最新機種に更新しているが、そのような企業でも残念ながら信頼性が高く、“安定したプラットフォーム”としての利用に留まってる。極めて保守的なメインフレームのユーザーからは、安定性や信頼性を重視するあまり、AIのような新しい機能がメインフレームに取り込まれることで「信頼性や可用性に何らかの影響を及ぼすのでは」と懸念する声も聞かれる。

 たとえばトヨタ自動車では、基幹系システムのデータを活用するために、バッチ処理でデータをコピーして利用できるようにしている。しかし、複製データができてしまい、リアルタイム性もないことに課題を感じていたという。そこでz17で課題を解消し、AI機能も活用していければ、期待が持てるとした。同様の事例が国内でも数多く出てくれば、レガシーではなく「進化し続けるメインフレーム」としてのイメージが醸成されそうだ。

 当然ながら、今後は信頼性が極めて高い環境でも、AI機能を活用したいとのニーズが出てくるだろう。その際、新たにメインフレームを自社データセンターに導入することは難しくとも、キンドリルの「zCloud」やSCSKの「MF+」のようなIBM zのクラウドサービスを選べる。基幹系システムの移行先としてのメインフレームの利用だけでなく、これらのサービスをうまく活用することで「基幹系システム+AI」のような新たな活用シナリオは、十分に現実的なものとなるだろう。

 そして、これらの上でOpenShiftなどを動かせれば、AIアプリケーションは“インフラがメインフレームであること”を意識する必要はなくなる。むしろ、AIを動かすための「極めて信頼性が高いクラウドプラットフォーム」と捉えられるはずだ。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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