マイクロソフト、グーグル、セールスフォース・ドットコムなどと並び、クラウドコンピューティング市場をリードする企業の1つがアマゾンだ。2002年に自社で運営しているオンライン書店のシステムインフラを一般にも開放した「Amazon Web Services」(以下AWS)を開始。昨年末に日本法人を設立し、国内での本格展開を始めた。 来日した同社のエバンジェリスト ジェフ・バー氏に、AWSの企業利用の現状、優位点、アジアでの展開などについて話を伺った。
クラウド利用の本格化AWSのビジネス価値
― 来日中に日本での顧客やデベロッパーとお会いになったと思いますが、どのような話をされたのですか?

AWSの日本のデベロッパーや顧客、そして未来の顧客に会って話をしました。そこで感じたのは、日本はクラウドコンピューティングやAWSにとても関心が高いということです。実際にクラウドを用いた開発はもちろん、利用も始まっていて、顧客にクラウドの価値を届けられる段階に入っていると思います。
―特に印象に残ったこと、感心したことは何でしょうか?
たくさんあります。「AWSソリューション・プロバイダーズ・プログラム」に日立システムアンドサービスが参加し、Amazon EC2 やAmazon S3 を使った日本国内でのサービス開始のアナウンスをしました。同社は、Amazon S3 を使うことで自社でストレージシステムを構築せずに済んだため、7万ドルの節約になったと聞いています。
またリプレックスという企業が日本郵便とパートナーを組んで、ウェブポという年賀状のサービスを提供したほか、企業名は出せませんが、ソーシャルネットワーキングやオンラインゲームのサービスでAmazon EC2を用いて何万というユーザーにオンラインでサービスを提供するための非常に経済性の高いシステムを構築した、という話も聞いています。
― 日本でクラウドを利用しているのはスタートアップのような小さな規模の企業が中心ではないかと思いますが、米国ではどうですか?
日本も米国も企業規模でいえば幅広いユーザーがクラウドを利用しています。政府から、中堅中小、そしてスタートアップまで様々です。研究開発用途も多く、例えば先日はNASA に訪問したのですが、NASAでもクラウドをミッションに活かしており、8つのクラウドに関連したプロジェクトがあると聞いています。
― そうしたクラウドを活用している企業は、自らクラウドを使うという決断をしているのでしょうか? それともソリューションベンダやSIerから勧められて利用しているのでしょうか?
多くの米国企業は自身でクラウドを使うという決断をしており、自社のIT部門でそれが可能なら自身で取り組んでいるようです。もし自身で取り組めるほどIT部門のリソースがない場合には、外部のSIerに協力を仰ぐということになっているようですね。
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新野 淳一(ニイノ ジュンイチ)
1988年に株式会社アスキーに入社。データベースのテクニカルサポート、IT系雑誌編集などを経て、フリーランスのライターに。2000年には株式会社アットマーク・アイティの設立に参画し、取締役就任。IT技術系のWEBサイト「@IT」の立ち上げにも関わる。2008年、「@IT」発行人を退任し、再びフリーラ...
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