SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

楠正憲 10年代の情報社会論

ガラパゴス携帯の閉塞とSIMロック規制の行方

第2回


iPadを皮切りにSIMフリー端末が普及すると期待されたが、蓋を開けてみると・・・。国内のSIMロックを巡る議論は、どのようなかたちに落ち着くのだろうか?

唐突な公開ヒアリングとSIMロック解除

 4月2日、総務省はSIMロック解除へ向けたヒアリングを実施し、携帯事業者各社や消費者団体からのヒアリングを受けて内藤副大臣が「ユーザーからの求めがあればSIMロックを解除する、という点で合意できた。早急にガイドラインを策定したい」と引き取った。 

 今回の公開ヒアリングは、2007年のモバイルビジネス研究会での検討を受けてのものという触れ込みである。モバイルビジネス研究会では、端末販売奨励金の見直しを提言する一方、SIMロック解除は次世代方式が導入される2010年を目途に改めて検討するとしており、年内にはLTE(Long Term Evolution)が導入されることを踏まえると、春から議論を始めたのは既定路線ではあった。 

 とはいえモバイルビジネス研究会では、1年近く議論して先送りを決めたSIMロック解除を公開ヒアリングの即日で結論を出すのはいささか拙速ではある。各社ともSIMロック解除に対して全面的に賛成している訳ではなく、今後ガイドラインを検討する過程で現実的な落としどころが探られることになろう。

 5月26日に公表されパブリックコメントに付されたガイドライン案では、「平成23年度以降新たに発売される端末のうち、対応可能なものからSIMロック解除を実施する。」としてSIMロック解除の一律義務化は見送られたが、報道によると「状況を注視し法制化も検討する」としており、SIMロックの解除が進まない場合に改めて強制解除が検討される可能性も考えられる。

SIMとSIMロックの歴史と背景

 SIMとはSubscriber Identification Moduleの略で、ケータイに挿入されている電話番号など加入者情報の格納された小型ICカードだ。欧州の第二世代携帯電話であるGSMで導入された。日本ではドコモの第三世代携帯電話から採用され、現在ではPHSを除く全ての携帯電話で利用されている。

 このカードを差し替えることで、加入契約している端末から別の端末へ簡単に移せる仕様となっている。ところが日本では一部の例外を除いて別事業者のSIM (auの場合は別加入者のSIM) を差しても動かない。これがSIMロックである。 

 日本で最初からSIMロックがかけられた背景としては、もともとドコモはi-mode、auはEZWEBなど各社でメールやネット接続の仕様が異なり、SIMを差し替えても多くの機能が正しく動作せず混乱を招きかねなかった上、携帯電話事業者が回線獲得のために多額の端末販売報奨金を積んでおり、数万円の補助で安く購入した携帯電話で、すぐにSIMを差し替えてキャリアを移されてしまうと、大幅な赤字となってしまう事情もあった。

次のページ
モバイルビジネス研究会での論点

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
楠正憲 10年代の情報社会論連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

楠正憲(くすのき まさのり)

マイクロソフト 法務・政策企画統括本部 技術標準部 部長1977年、熊本県生まれ。ECサイト構築や携帯ネットベンチャー等を経て、2002年マイクロソフト入社。Windows Server製品部Product Manager、政策企画本部技術戦略部長、技術統括室CTO補佐などを経て2009年より現職

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/2340 2010/05/31 18:19

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング