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2025年夏号(EnterpriseZine Press 2025 Summer)特集「“老舗”の中小企業がDX推進できたワケ──有識者・実践者から学ぶトップリーダーの覚悟」

週刊DBオンライン 谷川耕一

「IoTのソラコム」から「社会のOS」へ 10年で海外売上45%を遂げたCEOの“IoT×AI戦略”

ソラコムが提唱する「リアルワールドAIプラットフォーム」の真価

「グローバル売上比率45%」が意味するもの

 日本のITスタートアップの多くが海外進出で苦戦を強いられる中、ソラコムは10年のビジネスの中で海外進出を成功させている。現在、同社の売上は約45%が海外からのものだ。これは日本のIT系スタートアップとしては極めて珍しい数字だろう。海外での成功は、同社のプラットフォームが国境を越えて受け入れられている証でもある。

 成功の背景には、創業時からグローバル展開を見据えたアーキテクチャ設計があった。さらに、現地に根差した展開戦略も成功に寄与している。北米や欧州でのサービス提供開始は2016年から2017年にかけて行われており、現在では世界213の国と地域、509のキャリアに対応している。

 成功要因の一つは、現地のエコシステムに深く入り込んでいることだろう。たとえば米国では、大手テクノロジーサービス・ディストリビューターであるIntelisys社から「Top New Supplier」を受賞している。順調に海外展開を進めているように見えるが、玉川氏は海外ビジネスの難しさも認識していると話す。

 リソースが分散しがちな海外展開において、同社は「慎重かつ戦略的」なアプローチをとる。アジアやアフリカなど、ホワイトスペースもまだまだ多く、さらなるグルーバルビジネスの拡大が期待できそうには見える。しかしソラコムでは、単に拠点を増やすのではなく、戦略的なアライアンスやM&Aを通じて確実に市場シェアを獲得できるところから展開している。今後のグローバルでの着実な成長は、既存事業を牽引し同社の成長エンジンの一つとなりそうだ。

株式会社ソラコム 代表取締役社長 CEO 玉川憲氏

「AIベンダー」ではなく「IoT×AIの実践者」として

 生成AIブームの中、多くの企業が「AIベンダー」としてのポジショニングを模索している。しかし、ソラコムの立ち位置は明確だ。彼らはAIモデルそのものを開発する競争には参加しない。代わりに、OpenAIやGoogleなどが開発する最先端AIモデルと、現実世界のデータを「つなぐ」役割に徹する。

 これを具現化しているのが、クラウドカメラサービス「ソラカメ」や生成AI基盤を活用した事例だ。たとえば、北海道のコープさっぽろでは、ソラカメで撮影した画像を生成AIで解析し、売り場の在庫状況の自動測定や、倉庫への不正侵入検知を行っている。また、建設業向けのDXソリューションを提供するGRIFFYでは、駐車場の積雪状況をAIで自動判定し、除雪の要否を通知するシステムの構築をソラコムの技術を活用して実現している。

提供:株式会社ソラコム
[クリックすると拡大します]

 これらの事例が示すのは、現場は“高精度なAIモデル”を求めているのではなく、「AIを使ったら現場の業務がここまで効率化される」といった具体的なソリューションを求めているということだ。ソラコムは、デバイスからクラウドへのデータ転送、そしてAIによる推論結果のフィードバックまでをシームレスにつなぐ。それにより、専門知識がなくても現場でAIを活用できる環境を提供している。これこそが、玉川氏のいう「テクノロジーの民主化」の解釈でもあり、IoTとAIを融合させた「リアルワールドAIプラットフォーム」ということになる。

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丸紅・スズキなど大手企業とも提携、次の10年で目指す姿とは

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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