主力事業が逆転したベルーナ……データに基づく顧客理解で通販事業の“再起”に向けた業務改革に挑む
「AI Innovation Day Tokyo 2025 Winter」講演レポート
難易度が高い「業務改革」案件をやり抜くコツは?
業務改革の案件にするかの判断基準を設定しているのは「自分たちの部署のKPIに関係ないことはやりたくない」、あるいは「悪くなることに協力したくない」という心理が働くためだ。それに、IT部門には「Amazonと同じシステムを作ってほしい」など、具体性の低い要望が来ることもある。商品情報を共有できる仕組みを導入する場合、最初は全部署が賛成するが、データ登録の負担が発生するとわかると、売上金額や受電数をKPIに持つ部署が反発してしまう。
図1:関係部署の多さと業務改革の難易度の関係
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だからこそ、業務改革では、あるべき姿を明確にした上で、「1. 何を実現するか」「2. どのように実現するか」「3. 何を変えるのか」を定義し、実行することをベルーナでは徹底しているという。具体的には、まず、業務改革の方向性、次に業務改革を実現するためのプロセス、最後にプロセスを支えるインフラとして「人材」「IT」「業務」「組織」をどう変えるのかを決めることだ。よく言われるように、システム導入は改革手段の一つであり、目的と混同するべきではない。人材や業務を変えることで目的を達成できるのであれば、ITは現状維持の場合もありうる。
さらに浅沼氏は、業務改革と同時に行う変革管理の重要性を強調した。プロジェクトが始まると、メンバーはあるべき姿が実現した将来を想像し、大きな期待を寄せるものだ。しかし、その期待はしばしば過度なもので、現実が見えてくるにつれて“失望”に変わる。浅沼氏は「変革管理を行うことで、導入にともなう困難が生じてもソフトランディングを可能にし、変革を続ける環境が構築できる」と述べ、「負の影響の最小化」「効果実現の早期化と最大化」「導入後の効果の持続」という変革管理のメリットを3つ挙げた。
ベルーナの変革管理では、現状とあるべき姿とのギャップを作る3つの要因に注目している。第一に「オペレーションスキル」である。業務改革が進むにつれて、必要なスキルを習得していないことから来るスキルギャップ、そして現行の組織体制では対応できないストラクチャーギャップが見えてくる。第二がやりたくないという「マインド」だ。裏側にはカルチャーギャップとインセンティブギャップがある。第三が「コミュニケーション」である。プロジェクトを進めていくと、「こんなことは聞いてない」と言い出す関係者など、コミュニケーションギャップが生じることがある。
ベルーナは、それらのギャップに対して、教育プログラムの提供や組織体制の変更、KPIの見直し、情報発信等の対策を講じ、業務改革をやり抜く努力を続けているという。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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