国内においても仮想化でサーバー集約を実現し、様々な効果を得ている成功事例がすでに数多くある。こうした企業では、さらなる仮想化の活用を考え、次なるステップを踏み出そうとしている。より仮想化を活用するにはどんなことに注意すべきか、そして、さらに既存環境を仮想化インフラ基盤へと発展させ、ITの維持から利用中心に変革するプライベート・クラウド実現のためには、何を行う必要があるのか。
仮想環境下でのI/O集中による高負荷という課題を解決する重複排除技術
国内でも数多くの企業において、サーバー仮想化で数10、数100のサーバー集約に成功した事例が出てきている。その結果として、サーバー設置の物理的スペースやハードウェア導入コスト削減などの効果が発揮されているのだ。とはいえ、これらのメリットは集約時だけに享受できるものがほとんどだ。せっかく導入した仮想化技術のメリットをさらに継続的に得られるようにするには、どうすればいいのだろうか。
1 つの方向性は、既存の仮想化の仕組みを社内に拡大することだ。成功事例の横展開なので、一見この方法には課題はなさそうだが、気をつけなければならないこともある。仮想化の適用範囲を広げると、当然社内に仮想サーバーがどんどん増える。その際に問題となりやすいのが性能の確保である。性能が低下する原因には、統合ストレージやネットワークへのI/O負荷の集中が挙げられる。CPU負荷なら、サーバー仮想化の技術でリソースをダイナミックに割り当て効率化することも容易だ。そのための管理ツールも各種提供されている。しかし、ネットワークやストレージに関しては、仮想化環境の特性を十分に考慮していないことも多く、I/Oが集中してしまい性能が発揮できない。
この問題の解決のためには、高性能なストレージやネットワーク装置を導入し負荷の最適化を行う必要がある。とはいえ、それらを用意するとなれば当然多くの予算がかかる。当然、ネットワークやストレージに対して無尽蔵に投資はできないので、なるべく安価に仮想化におけるI/O 集中の問題を解決したい。そのためにEMC が提案する1 つの方策が、重複排除技術の活用だ。これは、特に仮想環境下でのバックアップ取得時に大きな効果を発揮する。例えば、バックアップは夜間などのユーザー利用がない時間帯に集中して行うため、バックアップ処理が始まるとネットワークや統合ストレージのI/O 負荷が一気に高まってしまう。
ここで、Avamar などの重複排除技術を活用すれば、ソースとなる仮想サーバー側で冗長データを特定し、バックアップ・データがネットワークに転送される前段階で、転送量を最小限に抑えられる。重複排除技術は、昨今注目されつつあるデスクトップの仮想化でも大きな効果を発揮する。デスクトップの仮想化では、サーバーよりもはるかに膨大な数の仮想マシンイメージを扱う。そのような状況でもAvamar を使えば、保存対象ストレージに送られる日々のバックアップ・データ量は極めて少なくなり、その処理で消費するCPU リソースも極めて少ない。そのため、仮想サーバーの集約率を大きく高めることが可能となる。
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雨堤 政昭()
EMCジャパン株式会社
グローバルサービス統括本部
テクノロジー・ソリューションズ本部
プロダクト・ソリューションズ統括部
シニア・プロダクト・マーケティング・マネージャ※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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