ソニー 経理部長が明かす、継続的に価値を生み出せる経理組織の条件──「集約型」組織で進める人材育成術
経理は「正確性+α」が求められる時代に ソニーが実践する、若手が辞めないための育成方法
分散から集約へ 「決算を締めるだけの組織」ではない、ソニー経理の全体像
次に林氏は、ソニーグループにおける経理の全体像を紹介。同グループはゲーム&ネットワークサービス・音楽・映画のエンタテインメント3事業に加え、イメージング&センシング・ソリューション、エンタテインメント・テクノロジー&サービスを加えた5つのセグメントで事業を展開している。エンタテインメント事業だけで連結売上高の約7割、営業利益の約67%を占める。連結子会社は1,544社(2025年9月30日時点)にも及び、経理機能はグローバルに分散している。
ここで生じる問題が、ガバナンスの難所だ。経理の本社機能であるグローバル経理センターは日本にあるが、エンタテインメント事業の事業本社は米国にある。経営に近い現地の経理組織に対し、日本からグローバルにガバナンスを効かせなければいけないのだ。時には必要とする情報の粒度をめぐってコンフリクトが生じることもあるが、「そこを解きほぐしながら、現地にとっても信頼できるパートナーになっていかないといけない」と林氏は話した。
グローバル経理センターの創設は2014年10月。それ以前は各事業に経理を置く分散型で、日々の処理が最優先、人材育成は各論にとどまり、個別最適に陥りやすかった。連結営業利益が赤字に沈む年だったことから、間接部門にも構造改革が及ぶなか、経理部門は事業経理の一部を本社に集約してシェアード化し、DXを拡大する集約・機能強化型へ移行した。
その後、経営体制の変更とエンタテインメント中心へのポートフォリオ転換やM&Aなども相まって同社の業績は好転。「これらの激しい事業変革に対し、スピード感をもって経営に貢献するには、集約・機能強化型の組織体制ができていないと難しかった」と林氏は振り返る。
集約の効果は、人材面にも表れた。かつては事業内の経理ラインでしかキャリアを描けなかったが、オペレーションから事業経理、連結などへ異動する道も開けたという。組織図上でも、シェアードサービスや事業経理、コーポレート税務、コーポレート経理に加え、ESG・DX・人材育成の機能までを経理センター内に置いている。「経理は決算を締めるだけの組織ではない」という言葉に、その自己定義が凝縮されている。
なかでも、役割の進化を象徴する取り組みの一つが「ESG」だ。かつてはサステナビリティ部門が活動をリードしていたが、当時CFOで現社長の十時氏よりサステナ開示のリード役を命じられ、2024年に経理センターに組織が新設された。月次決算を通じて、国内外の関係会社すべてにリーチできるのは経理だけ。財務情報に慣れた経理が非財務情報を載せていく必然性が、移管の背景にある。
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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