AIへの期待は64.9%に達する一方、明確な成果を得られた企業はわずか16.4%──primeNumberが独自調査で浮き彫りにしたのは、投資がAIエージェントに偏り、成果を最も左右する「データ基盤の整備」が置き去りにされているという課題だ。同社 取締役執行役員CIO・共同創業者 山本健太氏に話を聞いた。
AIへの期待と成果にギャップ 調査結果が示すトレンドとキャズム
生成AIを用いたツール導入が一巡し、企業の関心は「導入するかどうか」ではなく「どう成果につなげるか」に移っている。クラウドETLやデータカタログを提供するprimeNumberが実施した独自調査『AI・データ活用実態調査2026』からは、その転換点にある企業の実態が見えてきた。
同調査は、2026年7月17日に公開されており、AI・データ活用に関わっているビジネスパーソンを対象にしている。調査によれば、AI・データ活用に「劇的な変革」または「大きな改善」を期待する回答者はあわせて64.9%にのぼる。導入状況も、本番運用にまで至っている企業が60.6%、PoC以上まで含めれば79.4%に達する勢いだ。ところが、「明確な成果が得られている」と回答したのは16.4%、6人に1人にすぎない。期待と成果の間には、約49ポイントの落差が横たわる。
成果を上げている企業に目をやると、業務効率化という観点では他社との差はほとんど見られない。しかし、「経営・事業企画支援」「営業・マーケティング高度化」など、より具体的なユースケースにまでAIを活用できているかという切り口では、成果を上げていると回答した企業が上回った。この差を生み出している要因は、データ基盤の成熟度である。
「明確な成果が出ている」と回答した企業のうち、データ基盤を「全社で統合済み」と答えたのは26.2%と、成果が得られていない企業の倍以上にもなった。primeNumberの山本健太氏は、「データ基盤の整備状況における差が明確に表れた。同様の仮説を立てていたものの、予想以上に差が開いている」と語る。調査全体の数値を見たとき、「全社で統合済み」と回答した企業は、13.9%しかいない。残りの約8割は、データが部門ごとにサイロ化している、あるいは着手できていない状況にある。データ基盤が十分に整備されないまま、AI活用だけが先行している構図が業界全体に広がっているようだ。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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