primeNumberが提唱する「GDM」とは データ基盤整備とAI活用を両輪で進めるためのアプローチ
今回、primeNumberが調査結果とあわせて打ち出しているのが、「Generative Data Management(GDM)」という考え方だ。データの収集や品質チェック、メタデータの付与、ガバナンスといった、これまで人手に依存してきた継続的な運用作業に生成AIを組み込むことで、データ基盤整備とAI活用を二者択一ではなく、限られたリソース下でも並行しながら進められるようにするというものである。
primeNumberがGDMという概念を打ち出したのは、2026年4月頃と最近のことだ。このGDMは、特定の製品だけで完結する話ではない。「GDMは概念であり、実装を考えたときにはわれわれのプロダクトだけで100%満たせるとは思っていない」と山本氏。同社では、GDMを実現するために欠かせない主機能を提供しながらも、必要があれば他社のプラットフォームやサービスを掛け合わせていくスタンスだ。2024年には、データ連携サービス「TROCCO」のオプション機能だったデータカタログ機能を切り出すことで、データカタログ製品として「COMETA」をリリース。AIによるメタデータ自動生成機能やAI分析機能などを相次いで投入しており、これらがGDMの実現を後押ししていく。
また、GDMは“経営手法”として位置づけられている。今回の調査においても、経営層・CIO/CDO・データ部門責任者という3つの立場に向けて提言が整理された。経営層は、AIエージェントで何を生み出すのかだけでなく、「そのAIが参照するデータは整っているか」を考えることが必要だ。データ基盤をコストではなく、「AI投資の前提条件」として位置づけることが求められる。CIO/CDOには、「AI活用の成果」と「データ基盤の成熟度」を同じダッシュボード上に並べた上で、投資配分を意思決定する視点が欠かせない。そして、データ部門責任者には属人化リスクを棚卸しするなど、業務負荷の改善を起点に考えつつも経営層に提言することが必要だとした。
「まずは、ボトルネックになっている箇所を特定し、AIを適用してみる。小さなユースケースを一つずつ本番運用に乗せていくことで、使える状態のデータも全社的にたまっていく」と山本氏。その先に見据えるべきは、経営・事業戦略の意思決定にAIを組み込むことだ。
「経営や事業戦略の意思決定にどれだけAIを組み込み、精度の高い判断を素早く下せるようになるか。まさに今、この問いにチャレンジしていくべきタイミングだ。そして、これはデータが統合された『AI-Ready』な状態でなければ、絶対に実現できない」(山本氏)
今回の調査は、AIエージェントへの投資計画を進める前に、そのAIが参照するデータの整備状況について、経営層や事業部門を巻き込んで問い直すための材料となるはずだ。データ基盤の整備といえば、これまで幾度となく挑戦しては失敗してきた領域かもしれない。しかし、AIによる成果を生み出すためには、この小さな一歩を積み重ねることが重要であり、現実的な道筋となる。
この記事は参考になりましたか?
- DB Press連載記事一覧
-
- AIだけに投資しても成果はでない──投資成果の格差はなぜ生まれるのか? 実態調査が浮き彫り...
- パナソニック コネクト/NTTドコモに見る、Snowflakeを駆使した“AI現場実装”の...
- サミットの小売りDXを加速させるDB戦略──「ラフに扱っても止まらない」TiDBで実現した...
- この記事の著者
-
岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
