AIエージェントに集中投資 データ基盤に向かわず、再びキャズム拡大へ
primeNumberによる調査は、AIに対する投資そのものが“成果の出やすい領域”に投下されていないという現状も浮き彫りにしている。
今後12ヵ月のデータ・AI関連投資について、44.8%の企業が増加を見込んでおり、減少を見込む企業はわずか0.8%と、投資意欲そのものは旺盛だ。ただし、投資先に課題が残る。優先的に投資したい領域を尋ねたところ、「生成AI/エージェント型AIの開発・運用」が43.4%で圧倒的な最上位となった一方、「データ統合・パイプライン整備」は21.7%、「データカタログ・メタデータ管理」は12.3%、「DWH・データレイク強化」は11.0%と、データ基盤整備への投資意欲はいずれもエージェント開発の半分以下にとどまった。
「生成AI/エージェント型AIの開発・運用」を優先するとした回答者のうち、60.5%が複数回答を含めてもデータ基盤に係る領域を優先投資の対象に選んでいない。
また、データ・AI関連人材の状況を尋ねた設問では、約4割の企業で知識・スキルが特定の担当者に集中する属人化が生じており、必要な人数・スキルを確保できていると回答した企業はわずか9.4%となった。専任チームが中心となって運用している企業は30.8%であり、そもそも運用工数を「わからない」と答えた回答者が56.8%に上る。
「特に、事業会社において専門人材を採用する難易度は高い。どのような要件で募るべきかを定められず、面接まで進んだとしても適切に評価できない」と山本氏。だからこそ、高額な報酬を提示して採用するのではなく、まずはAIの源泉となるデータ基盤の構築・運用に投資すべきだと提案する。
「たとえば、コーディングエージェントは、大きな投資対効果が証明されている。同様に、データ基盤の開発・運用領域はAIを適用しやすく、効果も大きい」(山本氏)
具体的には、データパイプラインの構築やAPI連携、エラーの一次対応などをエージェントに任せ、人間は管理者としてその成果を検証する立場に回るような体制だ。もちろん、すべてをAIに委ねることは、まだ現実的ではない。山本氏は、「動作が保証されている領域は、AIを用いてマネージドサービスのような形に近づけていける。あくまでも決定論的な処理とそうでない処理を切り分けることが重要だ。AIで試行錯誤する範囲を適切に狭めることができれば、自ずと運用負荷は下がっていく」と述べる。限られた人材だけでデータ基盤の整備とAI活用を両立させるには、AIをどのように適用していくかが鍵になる。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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