iPadの主用途はコンテンツビューワー
「スマートフォンをビジネスに活用する」という話題が増えてきている。主な傾向としては、iPhone利用に代表される個人ユーザー向けのテーマだ。個人用のワークフローの管理手法であるGTD(Getting Things Done)や自己啓発系のビジネス書に代表されるようなビジネスパーソンのスキルトレーニングの流れと絡まり、ある一定のポジションを得ている。
また、個人ではなく会社としての取り組みとしては、「iPadをビジネスにどう活かすか」というテーマが多く目につく。iPhone型のスマートフォンが個人ユースの場面を軸とすることが多いのに比して、iPadタイプのスマートタブレット(注:筆者造語)では、個人ユースで何をするかと並んで会社での業務用途について紹介される場面が多いように見える。 本稿では、個人ユースではなく、ビジネスユースについて、ややスマートタブレットを意識しつつ現在の状況を整理してみよう。
まず、スマートタブレットの代表格とも言えるiPadの利用用途の事例を見ていると、下記のようなパターンが多い。
- 紙で管理していたカタログを電子化したい。顧客に見せる道具としてPCやタッチパネル端末では見栄えや操作感として納得できなかったが、iPadであれば紙に近い高精度な表現と直感的に触って使える便利さからも採用しやすい。
- 店頭でお客様にタブレットを使って、カタログ情報を見せながらプレゼンテーションしたい。”スマート”に見せられることで商談の成約率を上げられるとしたらいい投資となる。
- プラント設備の見回り監視などでの持ち歩き用途に際し、PCよりも持ち歩きがしやすい特性を生かし、コンパクトで機動性のよい端末としてタッチパネルのビューワーとして使いたい。
- リテール店頭でお客様の待ち時間に見てもらえる雑誌やサイネージ、商品カタログのようなツールにしたい。店頭の棚制約で置けなかった種類のカタログ情報も載せられ、商品紹介の機会を増やせることを期待している。
2つめのケースを除くと、大半が対顧客で見栄えの良さとカタログ情報の掲載範囲を増やせることを狙いとしたものが軸になっている。つまり、カタログに代表されるコンテンツビューワーとしての用途が主となっており、業務トランザクションが走っていない。狭い意味においては業務機器ではないとも言える。
(次ページへ続く)