ロボコンに水着審査のある未来をご希望ですか? (はい/いいえ)
未来の世界の、牛(べこ)型ロボット!
「どんなもんでしょうか? それはこんなもんでしょうか?」
「いいえ、そんなもんではありません。なにかもっと
奇妙奇天烈で禍々しいもののはずです」
「それはこんなもんでしょうか?」
「顔が演歌歌手でそれ以外が牛……ひぃっ! 禍々しすぎる!」
「牛型ロボットが牛にかなわないたった一つのポイントって
なんだかわかるかいボブ? それはね、焼いても食えないって
ことさ! HAHAHAHAHAHA!」(*ボブというのは牛の名前です)
さて、そんな牛型ロボットはさておき、
近年のロボット技術のめざましい進歩から考えるに、
遅くとも10年後には、ロボットだけのサッカーチームが
存在していると考えて間違いないでしょう。
(ロボットだけのプロ野球チームが誕生するまでには
さらに10年ほど待たなければいけないのですが、
これにはボールの大きさが関係しています)
そのころの高専ロボコン、すなわち
全国高等専門学校ロボットコンテストはというと、
当然いまよりもはるかに尖鋭化しており、
高専生たちの製作したロボットたちが
高名な演歌歌手の姿をかたどった巨大なロボットを
なんらかの形で動作不能に追いこんだら勝ち、という
ルールで行われるようになっています。
「お客様は神様です」という名言をほがらかに連呼しながら、
人でないもの(*神様でもない)を手当たり次第に
マイクロ波や赤外線で攻撃する巨大演歌ロボ。
ここで演歌ロボが識別のために行うのが、
そう、チューリングテストです。
スフィンクスのように高専ロボたちに問いを投げ、
その答えによって人間であるかどうかを判別し、
人でないとわかるとたちまち攻撃を加えるのです。
ロボットたちは、人間らしい受け答えを実現するべく
あらゆるアルゴリズムを詰め込まれ、コンフリクトのために
あるものは火を噴き、あるものは営業マンとして大成します。
そうして、過酷な闘いを生き残ったロボットにのみ
電話の交換手などの職が与えられたのです。
まだまだロボットの社会的地位が低かった時代のお話です。
ロボットの夜明けは遠い……(遠い目で)
以上、現場からお送りしました。
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倉田 タカシ(クラタ タカシ)
「ネタもコードも書く絵描き」として、イラストレーション、マンガ、文筆業、ウェブ制作、Adobe Illustratorの自動処理スクリプト作成など、多方面で活動。
イラストの他に読み札も手がけた「セキュリティいろはかるた」はSEショップより発売中。
河出文庫「NOVA2-書き下ろし日本SFコレクション」...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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