SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

お困り日誌

#036 菓子折りに ラビオリ詰めて 暮らしおり (詠み人知らず)


菓子折りに ラビオリ詰めて 暮らしおり (詠み人知らず)


「先生、スイカは菓子折りに入りますかー?」

新米教師をおとしいれる意地悪な質問です。

果物だって水菓子とよばれるのだから
お菓子に含めてまったく問題はないはず、
しかし巨大なスイカをどうやって箱に入れるというのか、
切って入れようとすれば果汁が出てしまうのではないか、
そもそもスイカは厳密には野菜に分類されるものでは
なかったか、しかし「水菓子」という言葉が果物のみを
指すものであったかどうか当方のライブラリには記載がなく、
このあたりでロボット先生は頭部から激しく火を吹いて
生徒たちに強い印象を残し、ある意味で熱血教室とも
呼べる状況がそこに現出したのでした。

実際に謝罪の際にスイカを持参するケースでは、
土下座をしながら勢いよく頭を降り下ろして床に置かれたスイカを
粉砕するというパフォーマンスが主流になっており、
これは一般的にたいへん不評です。

さて、あらゆる不祥事を帳消しにする力があるという
究極の菓子折りを探すため、
社長は置き手紙をひとつ残して旅に出ました。

常識的に考えて、会社としてきわめて末期的な状況であり、
それ自体が取引関係各社に対する不祥事そのものでしたが、
社員たちはうろたえず、自分たちもまた速やかに全国へ散りました。
社長を探すためではなく、その伝説の菓子折りを
社長よりさきに手に入れるためです。

もちろん、正確には、彼らが探しているのは菓子折りではなく、
その菓子折りを製造する、小さな小さな工場でした。

長く苦しい道のりは字数の関係で割愛しますが、
社員たちがついに見つけたその菓子折り工場は、
野生のスイカの襲撃をうけて今まさに破壊される寸前でした。
厳密には野菜であると同時に敏捷な捕食動物でもあるスイカは
おもに砂丘に生息し、ときに民家を襲います。
幾重にも渦巻く緑のツルのなかに、社員たちはぐるぐる巻きに
された社長の姿を発見しました。
なすすべもなく瓦礫の山と化すかと思われた菓子折り工場は、
しかし突然シャッターを開き、あっという間にスイカを
すべて飲み込んでしまいます。

わしゃわしゃと咀嚼音が響き、ほどなく、裏のシャッターから
現れたフォークリフトが、一山の菓子折りを社員たちの前に
しずしずと差し出しました。

社長はどこへいったのでしょう?

社員たちにはわかっていました。
経営者の血をもってしか償いえない不祥事というものが
この世にはあるのだと。

社はそれからもほどほどに栄え、
菓子折り工場がいまどこにあるかは社員たちにもわかりません。
 

          「お困り日誌」一覧はこちら 

 

 

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
お困り日誌連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

倉田 タカシ(クラタ タカシ)

「ネタもコードも書く絵描き」として、イラストレーション、マンガ、文筆業、ウェブ制作、Adobe Illustratorの自動処理スクリプト作成など、多方面で活動。
イラストの他に読み札も手がけた「セキュリティいろはかるた」はSEショップより発売中。
河出文庫「NOVA2-書き下ろし日本SFコレクション」...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/2810 2011/01/12 20:49

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング