夏休み特別ロードショー・のろしのレイテンシ
クラウドサービスなのに、通信回線が狼煙(のろし)。
かつて、そういうものが存在していました。
狼煙そのものは光の速さで情報を伝えます。
しかし、狼煙通信のプロトコルはきわめて複雑で、
レイヤーはおよそ30層あり、また、パケットをひとつ
送信するのに通常1時間ほどを要します。
狼煙回線における「パケ死」とは、パケットをすべて
送信し終える前に担当者が寿命を迎えることを意味しています。
狼煙通信は2030年代にもっとも盛んでしたが、
2028に勃発した全面核戦争からの復興が世界的に進むにつれて
廃れてゆき、2050年ごろには完全に消滅したと考えられています。
という夢をみました。
もちろん、ここでのクラウドとは、あのまがまがしい
マッシュルームクラウドのことではありません。
「群衆」を意味する、「crowd」と綴るほうの「クラウド」であり、
数万人の民と同数のそろばんからなる
人海戦術的仮想計算機サービスです。
クラウドひとつない空の下、クラウドに思いをはせています。
築50年の木造家屋である我が家は、唯一のクーラーが壊れてから
2年が経過しており、予想外の猛暑となったこの夏、
住民の生命を維持する能力が20パーセント程度にまで低下しています。
クラウド型サービスには
大きく分けて入道雲系とうろこ雲系の2種類があり、
その特徴としては、
入道雲系:
・大トルク
・腐りやすい
・返事は元気だが話をちゃんと聞いていないことが多い
・主成分は泡立てた卵白で、微量の重金属をふくむ
・「お金がなかなかたまらない」と愚痴りながら
紙幣をむしゃむしゃ食べていたが、たしかに
腹にはたまらなさそうだった(目撃者の話)
・宇宙の風に乗る
うろこ雲系:
・コンサバ
・はがれにくい
・本当は「できません」と言いたいときに完全に白眼になり
全身をマナーモードの携帯電話のように振動させながら
扇風機の風に向かって話すような声で
「お茶の子さいさいでちゅよ」と答える癖がある
・パスモに対応
・宇宙の風に乗る
以上のようなものであろうと想像されています。(筆者に)
筆者は、そのほかにも色んな想像をおこなっていると
考えられていますが、現在は人間としての能力が
20パーセント程度にまで低下しているため、
充分なアウトプットを観測できなくなっています。
宇宙の風は、そのような筆者の木造家屋のなかも
さわやかに吹きぬけてゆくのですが、
空気を動かすことはできないため、とくにこれといった
変化は観測できていません。
そのような現状ではありますが、筆者はクラウドサービスの
未来を信じ、思索を続けていると考えられています。
その成果については、いつかまた当欄でご報告できることと思います。
ご清聴ありがとうございました。