風刺の強引さに定評をいただいております当欄です
「わたしたちはもう、無料のものしか欲しがりません!」
ついに、税金と公共料金以外のあらゆる支払いを
拒否する精神構造を獲得してしまった21世紀の新人類たち!
やばい! きびしい! もうからない!
それは、いわゆる「フリー戦略」がもたらした
最悪の結果でした。
「タダほど高いものはない」
「無料の昼食なんてものはない」
「右の頬を紙幣で叩かれたときだけ左ほほ肉を差し出しなさい」
「食い逃げには死を」
東西のあらゆることわざが教えつづけてきた資本の論理を、
「水と平和はタダで手に入ると思っている」と
古来より揶揄され続けてきたこの国の人々は、
あっさりと放り捨ててしまったのです。
やがてはお金にかわると信じて
いろんなものを無料で提供してきた人々も、
いつかは価値が認められると信じて
誰も買わないものに辛抱強く値札をはって
店先に並べ続けてきた人々も、
どんどん下がる利益率に心を削られながらも
高い品質こそが産業を支えると信じて
ものを作り続けてきた人々も、
みな一様に真っ青になりました。
なにも買わないって……そんな……しんじゃうの?
しかし、もちろん、お金を払わないくらいじゃ
死にやしないことは、みんなもう知っているのです。
水道代すら払わずにすむ方法すらあります。
この国はまだまだ豊かな自然に恵まれているのです。
もはや人々は、税金や公共料金すら払わなくなりました。
草を食み、川の水を飲んで、あとは日がな一日
インターネットをやって過ごす人々。
ちょっと待って、どうして無料でインターネットが
できるの? と疑問に思われる方もいらっしゃると
思いますが、この国にとっては残念なことに、
技術革新の横すべりによって、インフラをすべて
植物性原料でまかなうことが可能になった結果、
インターネットは野生化し、日本の生態系に同化
してしまっていたのです。
お金のいらないユートピア。
それは何年つづいたのでしょうか?
どこを起点とするかで意見はわかれますが、
だいたい1年から3年といわれています。
お金は、あっさりと戻ってきました。
人々がなにかに価値を認め、
他人とそれらを交換したいと考えるかぎり、
貨幣という便利なアイデアは何度でも再発明されるのです。
お金はけっしてなくならない……
お金はすぐなくなる……(自分の懐から)
お金……お金払いたくない……!
お金……お金ほしい……!
(以上、汗まみれの寝床より)