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#047 プロジェクト∞ ~船頭たちの鎮魂歌~


プロジェクト∞ ~船頭たちの鎮魂歌~


船を山に登らせるには、最低何人の船頭が必要でしょうか?

これは、「針の頭の上で天使が何人踊れるか」、あるいは
「電球を換えるのに何人の死人が必要か」などと
おなじカテゴリーに属する、古い、よく知られた問いですが、
よく知られたその答えは、「2人で充分」というものです。
船頭が2名いれば、船はたやすく山に登るのです。
おそるべし、船頭(の余剰)。

山に登った船として一番有名なのはおそらくノアの箱舟ですが、
これについても、乗せられていた動物のつがいがすべて
船頭であったことが原因だとする説が根強くあり、
あきらかに間違っているとはいえ、船頭を多頭飼いすることの
恐ろしさをよく反映した説だとは言えるでしょう。

船頭さんだからいけないの? 船長さんだったらいいの?
という疑問が当然みなさんの脳裏に浮かんでいるかと思います。
これは難しい質問ですが、船長が複数の場合は船が巨大なイカに
変身し、ほかの船を襲ったあと、何事もなかったかのように
回転寿司屋の皿に乗っている、というのが通説です。
どこの通説かは、まだ調査中のためわかっていません。

増えてしまった船頭を、船が山に登り始めるまえに鈍器で
間引いてゆくというコンピュータゲームがありますが、
これはすさまじい3D酔いをひきおこすことでよく知られており、
ゲーム画面のなかの船頭もあきらかに酔っており、
プレイヤーの嘔吐と船頭の嘔吐がシンクロすると強烈な
カタルシスが訪れることからカルト的な人気を誇っており、
数年後に映画化されるも興業的にはコケており、
コケた原因もまた船頭の数が多すぎたためであり、
その経緯を追ったドキュメンタリーもまた船頭の(以下略)

船頭はそれぞれ固有のベクトルを持っていますが、
その数が増えた際に、個々の船頭のベクトルを合成したものが
かならず直近の山をまっすぐに指すことがわかっています。
これは俗に「船頭のコンパス」と呼ばれる現象で、
原因はもちろんわかりませんが、わからないとばかり
書くのも不親切なのであえて想像の翼にゆだねるならば、
船頭たちは、やっぱり、山が好きなんですよ。
(まぶしそうに目を細めながら)

ところで、船頭はなぜ増えるのでしょうか?
船頭が乗客に噛みつくと噛みつかれた乗客が船頭になって
しまうというような、ゾンビじみた繁殖方法をとるのでしょうか?
いいえ、船頭は眉毛を飛ばします。微小な針のような眉毛が
音もなく発射され、たまたま船の脇を飛び跳ねたトビウオに
命中します。トビウオはしばらく船のまわりを泳いだあと、
大きくジャンプして舷側に立つ乗組員の後頭部に突き刺さります。
トビウオが後頭部に刺さった乗組員は別の乗組員を説得し、
説得された乗組員がまばゆい光とともに船頭に変身します。
非常に複雑なしくみですが、とても理にかなっています。


登頂を成功させたあと、船頭たちはどうするのでしょうか?

かれらは船を解体し、それを燃やして大きな焚き火を作ります。
ひとつのプロジェクトが、思いもよらぬ場所で灰にかわります。
炎に照らされながら、彼らは酒をくみかわしません。
炎に照らされた彼らの顔に達成感はありません。
炎に照らされて踊るのは船頭以外の乗り手たちです。
炎に照らされているのではなく、じつは炎に巻かれています。
炎が静まったとき、船頭はなぜか一人になっています。
船頭は船頭であることをやめ、ひっそりと下山します。
そして、いつかどこかでまた船が山に登るのです。

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この記事の著者

倉田 タカシ(クラタ タカシ)

「ネタもコードも書く絵描き」として、イラストレーション、マンガ、文筆業、ウェブ制作、Adobe Illustratorの自動処理スクリプト作成など、多方面で活動。
イラストの他に読み札も手がけた「セキュリティいろはかるた」はSEショップより発売中。
河出文庫「NOVA2-書き下ろし日本SFコレクション」...

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