はじめに
最新バージョンである『Oracle Database 11g Release 1』は2007年10月に日本国内での出荷が開始され、その後継リリースである『Oracle Database 11g Release 2』は2009年11月に同じく日本国内での出荷が開始されました。Release 1が発売された当初はメジャー・バージョンアップということもあり導入を見送った慎重な企業が多かったと思いますが、Release 2が発売されてから1年以上が経過した現在では多くのシステムでOracle Database 11gが利用されています。
最新バージョンである11gにアップグレードすることで、これまでのバージョンにはなかった便利な新機能を利用することができます。また、既存の機能に関しても多くの修正や最適化が施されているので、安定性と性能の向上が期待できます。しかしながら、現実問題としては「準備や作業にかかるコストを考えるとアップグレードする気になれない」とか「旧バージョンの機能で間に合っているのでアップグレードは必要ない」といった方も多いのではないでしょうか?
本連載では、11gにまつわる諸々の話題について実例を交えてわかりやすく解説します。11gを使用するために必要なインストール作業やアップグレード作業に始まり、11gでの主な変更点や新機能、チューニングといった代表的なトピックについて一通り取り上げる予定です。これを読んで11gについて理解を深めていただき、新バージョンならではの強力な機能の一端に触れていただければ幸いです。
第1回目である今回は、Oracle Database 11gへアップグレードする上で知っておきたい前提知識や準備作業について解説します。
なんでアップグレードする必要があるの?
そもそも、なぜOracle Databaseをアップグレードする必要があるのでしょうか?データベースのアップグレード作業には少なからずコストがかかります。また、現行バージョンのOracle Databaseで提供されている機能で問題なく稼働しているシステムもたくさん存在するでしょう。
ここで忘れてはならないのが、ソフトウェアに限らずどんな製品にも保証期間が設定されているということです。製品の提供元であるメーカーでは、購入者に対して不具合対応などのアフター・サポートを行ってくれるのが一般的です。しかし、メーカーにとってすべてのバージョンをサポートすることは、コストの面から考えて非常に困難です。さらに、オープンシステムでは他社製品との依存関係が必ず存在するので、いくらコストをかけても不可能という現実もあります。したがって、利用者の少なくなった古いバージョンはサポート対象から順次外されていくのです。
たとえ安定稼働しているデータベースであっても、製品の不具合などに直面する可能性は十分あります。万一のときに修正パッチなどの適切なサポートを受けるためには、お使いの製品を有効なバージョンにアップグレードしておく必要があるのです。
ソフトウェア・ベンダーであるオラクルでは、扱っている製品の各バージョン(リリース)をいつまでサポートするかを定義した『ライフタイム・サポート・ポリシー』を公表しています。以下はOracle Databaseのライフタイム・サポート・ポリシーです。
オラクルのライフタイム・サポート・ポリシーには3つのサポート・レベル(Premier Support、Extended Support、Sustaining Support)があり、それぞれ以下のような違いがあります。
サポート・レベル | サポート内容 |
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Premier Support | 米国本社での製品出荷開始から5年間メンテナンスとサポートを提供。 |
Extended Support | 追加料金で特定のオラクル製品/リリースに対してさらに3年間Premier Supportと同等のサービスを提供。 |
Sustaining Support | お客様がライセンスを保持しサポート契約を継続する限り、オンラインのサポート・ツールの利用、ナレッジ・ベースの参照、既存のプログラム修正の入手、さらにオラクル製品のエキスパートによる支援を提供。 |
参考情報
Oracle Lifetime Support Policy