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実務経験者のためのPMP合格講座

ノーベル賞受賞者の二人が強調する「基礎」とは

第1回


PMPは、プロジェクトマネージャの国際資格として広く認知されています。この資格取得には、プロジェクトマネジメントの指揮・監督する立場での経験と35時間以上の公式なプロジェクトマネジメント研修を受講することという2つの受験資格を満たす必要があります。プロジェクトマネジメントの実務経験をもっていることが必須条件なのですが、実務経験をもちながらも、PMP資格を取得していないプロジェクトマネージャも数多く存在します。この連載では、実務経験を積んだプロジェクトマネージャの方を対象として、PMP合格への道を解説します。  

「基礎」の重要性

 2010年のノーベル化学賞を、二人の日本人が受賞しました。いろいろなところで報道されていますから、すでに皆さんはよくご存じのことと思います。この日本の誇る博士は、お二人とも、同じようなことを話されております。「基礎が大切だ」「若いころに、基礎をしっかりと身に付けた結果が、ノーベル賞につながった」と。日本の頭脳どころか、世界の頭脳になったお二人が、「基礎」の重要性を強調されています。

 私自身の学生時代を振り返ってみますと、先生から毎日のようにいわれていたものの、右から左に聞き流していた言葉ですが、ノーベル賞学者のお二人にいわれると、あらためて、ドッシリとその重さを感ずるとともに、遠い過去に置いてきてしまった「基礎」を、何とかして取り戻したい気持に駆られます。全く無理な話ですが。

 しかし、この私が、今、恥かしげもなく、「基礎」の大切さを説いて歩いているのですから、世の中不思議なものです。もちろん、アカデミック方面の基礎ではありません。40年以上お世話になった実業界での経験に基づいた基礎、プロジェクトマネジメントの基礎知識です。思い返すまでもなく、随分と多くのプロジェクトを失敗してきました。全てIT関連のプロジェクトでした。お手本になるプロジェクトが世の中にほとんどなく、また、ガイドラインのようなものも存在しなかったことが、その理由としてあげられると思います。

 あるIT関係の雑誌によりますと、日本国内でのプロジェクトの成功率は、10年ほど前で、約26%、2年前で、約31%だそうです。成功率の向上は、遅々としていますが、それでも最近8年ほどで5%アップしたことになります。プロジェクトマネジメントの重要性が叫ばれ、そして、その基礎知識を系統的にまとめたPMBOKガイドが注目され始めたのが、2000年近辺からですので、ひょっとすると、この5%の向上は、PMBOKガイドによるところが大きいのかもしれません。

さまざまなプロジェクト
青栁氏はさまざまなPMP講座で講師を務める

 私達がプロジェクトに携わっていたころ、先輩達がよくいっていました。「プロジェクトは、KKDだ」と。「経験」と「勘」と「度胸」、これがプロジェクト成功のカギだ、というわけです。これが間違いだとは思いませんが、私は、ここにもうひとつの「K」を加える必要があると思っています。

 追加する「K」は、「基礎」のKです。「勘」も「度胸」も、経験と基礎(知識)によって支えられているものだと思います。「基礎」は、往々にして、「経験」より軽んじられる傾向があるようですが、お二人のノーベル賞学者のいわれるように、もっと「基礎」に目を向けるべきだと思います。

 プロジェクトを取り巻く環境には、幸にして、いまやグローバル・スタンダードといわれる基礎知識体系:PMBOKガイドが整っています。この基礎知識体系を理解できないと、プロジェクトマネジャの国際資格であるPMP(Project Management Professional)は取得が難しいともいわれています。すでに、プロジェクトに携わって豊富な経験をお持ちの方は、もう一度、基礎を振り返ってみる気持ちで、そして、これからプロジェクトの世界に入って行かれる方は、基礎を自分のものにするために、PMBOKガイドに取り組んでみてはいかがでしょうか。(次ページへ続く

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プロジェクトマネジメントとは

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この記事の著者

青栁 次男(PMP)(アオヤギ ツギオ)

株式会社タリアセンコンサルティング 代表取締役
1966年早稲田大学第一商学部卒業。1967年日本航空入社。システム開発部門にて、旅客予約管理システムをはじめ、整備、運航、一般管理等、システム開発に従事。また、国内初の海外オンラインリアルタイムシステム開発を担当。
1998年タリアセン設立に参画...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/2903 2011/06/16 13:48

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