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実務経験者のためのPMP合格講座

PMP試験のための勉強

第2回


 PMP資格取得のために、どのような勉強をしたらよいのかとよく聞かれます。残念ながら、必勝法はありません。いろいろな方の経験談を耳にしますが、それらを総括してみても「合格への最短距離は、地道な勉強」の一言につきると思います。「地道な勉強」とは、自習、e-ラーニングの活用、公開講座受講など、自分に合った方法で、次に示す①~③を勉強することです。それぞれの勉強方法には一長一短ありますが、一般的に、公開講座では新しい情報を入手しやすいようです。 1. PMBOKを中心としたプロジェクトマネジメント基礎知識の習得 2. PMBOKに記述のない関連知識の習得 3. 練習問題の演習  

PMBOKを中心としたプロジェクトマネジメント基礎知識の習得

 PMBOKに目を通したほとんどの人の感想は、「大変分かりづらい」ということです。これは、プロジェクトマネジメントを知識体系に分類し、その体系単位で記述されているため、「流れ」がつかみにくいことに起因していると考えられます。したがって、次のような読み方をおすすめします。

 ①基本的に、知識体系ではなく、5つのプロセス群(立ち上げ、計画、監視・コントロール、終結)で読む
 ②①に矛盾するが、品質マネジメント、リスクマネジメント、調達マネジメントに関しては、知識体系のまま読む
 ③計画プロセス群の「コアプロセス」は、『PMBOK』掲載図のとおり、矢印の流れに沿って読む
 ④人的資源、コミュニケーションの両知識体系は、関連性が強いので、一緒にまとめて読む
 ⑤変更管理に関しては、統合変更管理、スコープ・コントロール、スケジュール・コントロール、コスト・コントロール、調達管理をまとめて読む
 ⑥スコープ検証と品質管理は、一緒に読む
 ⑦終結のプロセスの契約完了と完了手続きは非常に似ているので、相違点に注意し、比較しながら読む

 プロジェクトマネジメントに関する参考書は多数出版されていますが、PMP資格取得を目的にするのであれば、『PMBOK』に関する参考書に限定するのが得策だといえます。その中で、『PMP教科書 Project Management Professional 第4版』(翔泳社刊)は、『PMBOK』をわかりやすく解説していると評価されています。

こうしのあおやぎさん
青栁氏

PMBOKに記述のない関連知識の習得

 PMP資格試験問題200問のうち、『PMBOK』から出題されるのは、50パーセントから60パーセント。残りは関連する文献からの出題、あるいは応用問題だといわれています。そのため、『PMBOK』だけに頼ることなく、関連文献の勉強や実務経験による応用力が重要となります。また、次項にあげるように練習問題を繰り返すことが大切になります。

練習問題の演習

 可能な限り、多くの問題を繰り返し演習することをおすすめします(最低3回)。前述の『PMP教科書』にも練習問題が収録されています。米国のWebサイトには、練習問題が多数掲載されているので、それらを活用するのも有効です。 最も有名な練習問題はRita Mulcahyの『PMP Exam Prep』で、PMIのホームページから購入することができます。ただし、翻訳書は残念ながらありません。 練習問題の演習に際しては、次の点に留意しましょう。これは、実際の試験のときにも同じです。

 ・1問を30秒で解答すること
 ・設問に記述された事実のみを参考に、選択肢を選ぶこと。設問内容を勝手に想像し、解釈しないこと
 ・設問の形式に注意すること。特に「否定形」かどうかなどに注目すること
 ・すべての選択肢が正しい場合もあるので、その中から、設問に対して最も具体的に、詳細に解答しているものを選択すること
 ・自分の経験、常識、思い込みで解答するのではなく、PMIの考え方(PMIイズム*2)に沿って、解答を選択すること

*2:「PMIイズム」とは、プロジェクトマネジメントに関するPMIの基本的な考え方で、次のようなもの。(「PMIイズム」とは、一般的に認められた言葉ではなく、筆者の仲間内で使われている表現です。)

 -プロジェクトは、必ず教訓を残すこと
 -プロジェクトは、教訓により、他のプロジェクトへ継承されること
 -プロジェクト・マネジャーは、前向き(プロアクティブ)であること
 -問題に直面したら、まず自ら「事実」を確認すること
 -専門家を活用すること。
次ページへ続く

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この記事の著者

青栁 次男(PMP)(アオヤギ ツギオ)

株式会社タリアセンコンサルティング 代表取締役
1966年早稲田大学第一商学部卒業。1967年日本航空入社。システム開発部門にて、旅客予約管理システムをはじめ、整備、運航、一般管理等、システム開発に従事。また、国内初の海外オンラインリアルタイムシステム開発を担当。
1998年タリアセン設立に参画...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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