事業継続を考えれば共通基盤化が重要に
ところで、システムのサイロ化による問題は、すでにさまざまなところで指摘されている。日本で数の多い製造業においては、ものづくりの現場である事業部が本社よりも強い場合がある。そのため、事業部ごとにさまざまな判断をしてIT化を進めてきた経緯があり、さらに事業部ごとに決裁権を持っていたりもするので、事業部ごとにSI会社が異なるなどということも間々ある。「システムを作ったところもバラバラで、欧米のサイロ化よりもやっかいな状況」と三澤氏。
サイロ化のために全社レベルの数字を素早く見たいという要求にも応えられず、災害対策を施そうにもシステムごとに対応を考えなければならない。これらの弊害を解消するためにシステムの共通基盤を作りバラバラなシステムの統合化を進めるというのが、クラウド時代の主流となる考え方だ。データを一元化できれば、運用も楽になりコスト削減にもつながる。そして、この共通基盤を構築する際にもっとも重要となるのが、リレーショナルデータベースだと三澤氏は言う。
「企業にとって、人、もの、金の情報がもっとも重要なものです。第四の経営資源とも言えるこれらの情報が入っているのが、リレーショナルデータベースなのです」(三澤氏)
さらに、今回の東日本大震災を経験したことでの変化もある。情報の継続性が企業や組織の継続に結びついていることが、より一層明らかになったのだ。そのため企業の考え方が、クラウドコンピューティングに対しこれまでコストを第一に求めていたものが、企業にとって大事なデータをどう継続させていけばいいのかを重視するように変わりつつあると、三澤氏は感じている。当然ながらプライベートクラウドなりで共通基盤化したものを冗長化したほうがはるかに効率的であり、今後はこの情報という重要な経営資源を継続させるという目的からも、プライベートクラウド化が促進されるだろうということだ。
そして、このシステムの共通基盤をどう作っていけばいいかを検討する際、DBAの役割がかなり大きくなると三澤氏は指摘する。もっとも事業継続しなければならない部分を、データベースが握っているのだから、これは当然のことであろう。