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Interview

すべてのITインフラはクラウド化する~SAPとAmazonとの提携が意味するもの

SAPジャパン株式会社 ソリューション統括本部 松村氏、山澤氏

パブリック・クラウドの旗手「Amazon Web Services」との提携を発表したSAP。今後は、同社の製品をAmazon EC2上で利用することが可能になる。長年にわたって企業ITシステムのコア領域を担ってきたSAPがパブリック・クラウドと連携することによって何が起こるのかだろうか。SAPジャパンの山澤氏、松村氏に話を伺った。

SAP初のパブリック・クラウド向けソリューション

SAPジャパン株式会社 ソリューション統括本部カスタマーイノベーションセンター グループリーダー 山澤雅史氏
SAPジャパン株式会社 ソリューション統括本部
カスタマーイノベーションセンター
グループリーダー 山澤雅史氏

――先日、Amazon Web Services(以下、AWS)との提携を発表されました。まずは、その概要について、あらためてご紹介下さい。

山澤氏 今回の発表は、ユーザー企業がAmazon EC2(以下、EC2)上でSAP製品を利用できるよう認定を行ったものです。具体的には、「SAP BusinessObjectsソリューション」の全スイート、「SAP Rapid Deploymentソリューション」の Linux版の提供を開始します。将来的には、提供可能な製品の範囲を広げていきます。また、多くのサードパーティ・プロバイダーが、計画からマイグレーションまでの支援サービスや、サポートサービスなどを提供する予定になっています。

――基本的な確認ですが、今回の提携では、EC2上にSAP製品を導入できる様になったと言うことですね。例えば、SaaSのような形でクラウドサービスを提供するワケではない。

山澤氏 はい。誤解されやすい部分なので、確認しておきましょう。クラウドといった場合には、「ソフトウェアをサービスとして提供する」場合と、「クラウド上でソフトウェアを利用できるようにする」場合の2パターンが存在すると思います。前者はSaaS、PaaS、IaaSといったクラウドサービス、後者はクラウド対応、仮想化対応などが該当します。今回のお話は後者ですね。EC2上でSAPの製品を使えるようにしたということです。

松村氏 ただし、弊社のソフトウェアをサービスとして提供するための取り組みも並行して進めています。例えば、SaaSですと、日本での提供はまだ始まっていませんが、中堅中小企業向けのオンデマンド型統合アプリケーションパッケージ「SAP Business ByDesign」、SFAアプリケーション「SAP Sales OnDemand」、CO2排出管理アプリケーション「SAP Carbon Impact」などが、SaaSとして既にリリースされています。

 また、PaaSについても今後提供する計画が進められています。ただし、純粋なインフラ貸しとしてのIaaSについて手がける予定はありません。プラットフォームの提供については、今回の発表のように、AWSをはじめとするクラウド・ベンダーとの協業という形で進めていきます。

――クラウド上でのSAP製品のサポートは、以前から行われていますが、今回の発表はインパクトという面でやや異なるような気がします。

 おっしゃるとおり、SAP製品を利用するために必要なスペックを提供するクラウド事業者をSAPが公式に認定する制度自体は、すでに昨年末から開始していました。現時点で、ワールドワイドで10社以上と提携し、ユーザー企業にクラウドという選択肢を提供している状況です。

 ただ、これまで提携を結んだ企業は、主にプライベート・クラウドでのサービス提供を行っています。例えば、自社が所有するプライベート・クラウド環境上にSAP ERPを導入し、グループ企業に向けて提供されるといった具合です。

 その点で、今回の発表について、これまでと違う点を一つ挙げるとすれば、それはAWSがパブリック・クラウドの代表的なプロバイダーとして非常に高い知名度を誇っている点でしょう。SAPの製品がEC2でも利用可能になるということは、パブリック・クラウドへの進出を印象づけるという意味で大きな意義があることだと考えています。

――オンプレミスで利用するのに比べて、何か異なる条件はありますか。クラウドに対応するために何らかの変更を加えているのでしょうか?

山澤氏 まったくありません。EC2向けにソフトウェアに変更を加えるようなことは一切行っていません。今回の発表は、EC2上で特定の構成を選択すれば、特定のSAP製品が問題なく動作することを保証するというものです。ユーザー企業は、自社のハードウェア資産だけでなく、EC2でもサポートを受けられるようなるため、インフラの選択肢が増えることになります。

松村氏 実は、弊社が提供しているSAP製品のトレーニングコースでは、AWS上に構築した環境を利用していました。つまり、弊社としては以前からパブリック・クラウド上でSAP製品を動かしていたわけです。ただ、お客様の本番環境をパブリック・クラウドでもサポートできるようにしたという点では、今回が初めてとなります。

――なるほど。ちなみに現時点で認定を受けていないクラウド環境上にSAP製品をインストールすることは可能なのでしょうか?

山澤氏 単純にSAP製品を動かしたいという要望であれば、もちろん EC2以外のクラウドでも可能でしょう。ただし、SAPとしては、動作保証やサポートができなくなってしまうということですね。

 詳細な構成はAWSのWebサイトに掲載していますが、SAP製品を動かすために認定プロバイダーが提供しているクラウド環境は、弊社が定める厳格なリソース要件とパフォーマンス要件を満たしているものです。だからこそ、弊社としてはその動作を保証できますし、何らかのトラブルが発生した時もサポートを提供できるわけです。

 オンプレミスと同等のパフォーマンスが実現できることを基準にガイドラインを規定していますから、いったん導入してしまえば、オンプレミスとクラウドのどちらでシステムを動いているのか体感ではわからなくなってしまうと思いますよ。

 

 (次ページへ続く)

 

次のページ
パブリック・クラウド上でSAP製品を動かすメリット

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この記事の著者

吉田 育代(ヨシダ イクヨ)

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https://enterprisezine.jp/article/detail/3205 2011/06/10 11:30

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