さらなる普及には技術者確保が鍵に
そういったなかで課題となるのが、OSSデータベースの技術者の確保だ。NTT 研究企画部門 OSSセンタ センタ長の木ノ原誠司氏は、NTTの中でOSSデータベースを利用しコストの削減を目指して研究をしてきたが、「よりそれを広げていくには、人材が不足していた」と言う。PostgreSQLが9.0にバージョンが上がり、レプリケーション機能などエンタープライズレベルでの利用に耐えうるように進化しても、それを使いこなす技術者がなかなか確保できないという現状があるのだ。

この課題を解消し、よりOSSデータベースをビジネスシーンで活用できるようにする活動として発足したのが、今回の「オープンソースデータベース技術者認定試験」というわけだ。データベース技術者の認定資格と言えば、ORACLE MASTERがある。それを真似たのか、今回の資格制度はシルバーとゴールドの2つのランクが用意された。これらの資格試験のベースは、従来SRA OSS, Inc.が「PostgreSQL認定技術者」制度として提供していたものを、LPI-Japanに譲渡したものだ。
LPI-Japanとしては、今後5年間で50,000人程度の受験者を予測しているとのこと。この数字は、既存のORACLE MASTERの資格保持者の数から考えても、決して多すぎるものではないと言う。そして、今回の資格制度はOracleと競合するものではなく相互に補完するものだと主張する。商用データベースの資格を持っていてさらに、OSSの資格も取得する。商用データベースに加えOSSデータベースのスキルや知識を持ち、その上でOSSであってもミッションクリティカル用途で使えるような技術者を増やす。商用もOSSも理解した上で、OSSデータベースを使いこなす技術者を育成していくとのことだ。
試験の内容は、開発的な要素よりも運用管理の要素が多いとのこと。これは、実務でOSSデータベースを利用する上で、運用管理の技術のほうがより重要性が高いとの判断からだ。また、試験制度だけでなく、OSSデータベース技術の教科書的なドキュメントの発行なども行っていくとのこと。すでにLinuxでは無償で初心者向けの教科書を提供しており、これのOSSデータベース版をこの秋に発行が予定されている。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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