プログラミング言語、ミドルウェアの変化を吸収するINTARFRMの効果
ところで、INTARFRMはコードを自動生成する際に、ミドルウェアとの接続ライブラリの代わりに、それらを拡張したものを利用する。ライブラリを直接使ってしまうと、バージョンアップなどによって仕様が変わった際に、システムの整合性が崩れてしまう。従来は、バージョンアップによる、影響がないことを確認するために多大なコストを費やしていたことは冒頭に述べたとおりだ。そうしたコストを回避するために、富士通がそれらをラッピングするクッションを用意し、各ライブラリに変更が生じた場合でも、システム側に影響が及ばないようにしているわけだ。
「アプリケーション・フレームワークがシステムの全てをつなぐというコンセプトのもと、ユーザーがビジネス要件への対応に注力できる環境を提供する。ミドルウェア以下のインフラ部分の変化をINTARFRMが吸収するので、インフラとの整合性をとる手間を大幅に削減できる」(合田氏)。
多様なシステム形態、言語に対応する柔軟性
INTARFRMは、多くの企業にとって課題となっているアプリケーションのライフサイクル・マネジメントにも貢献すると合田氏は言う。例えば、システムの仕様書がなかったり、設計書の記述がアプリケーションの実態と一致していなかったりというのは、よく聞かれる話だ。利用期間が長ければ長いほどこうした状況は生まれやすい。
しかし、INTARFRMを導入したプロジェクトの場合は、設計から開発、テストに至るまで、すべての作業がリポジトリを中心に回ることになる。それは、前述の自動生成ツール然り、設計情報をもとにプログラムの検証を行うテストツール然り。構成管理も同様だ。一連のサイクルを、リポジトリを中心に回すことで、一貫性を担保するのがINTARFRMのコンセプトだ。リポジトリ以外の部分でも、開発標準、開発プロセスを整備、体系化しているので、ノウハウ・スキルの再利用と人的リソースの柔軟な配置が可能になる。
いつも最新のIT 環境に対応するフレームワーク
ここまでの説明では、オンプレミスにINTARFRMを導入する形を想定して説明してきたが、近日中にクラウド上にも実行環境を提供する予定だ。また、富士通はすでに社内に専用のINTARFRM開発クラウドセンターを設置しており、クラウド環境上でINTARFRMを使って開発することが可能になっている。完成時のアプリケーションの形態も、通常のSI 型だけでなく、パッケージやSaaSへも発展できるように拡張を図っていく(図)。
開発現場の課題について正面から取り組み、最新のIT環境への対応にもこだわりを見せるINTARFRM。今後もそのサービス力の進化が期待される。