SOA導入を支援するサービスを数多く用意
ここで吉村氏はSOA導入を検討している、ユーザー企業の事例を紹介した。運送業のA社はM&Aで3社が統合した会社で、それぞれが持っていた情報システムの運用や作業のオペレーションの均一化が求められていた。それに対して情報システム部門は、要求が多くて何から手をつけたら良いか分からない。そこで2010年の8月から日立が入り、SOA化によるシステム統合に向けた検討が開始された。
まず、ブレーンストーミングを行い、問題点を抽出した。それをカテゴリー分けするために採用された手法は、問題点の対象を業務主管元、AP開発者、AP運用者に分類し、それぞれのPDCAの枠を作り、整理するというものだ。
まず難易度が低く、効果算定ができそうな部分をプロトタイプで検証することを決め、2011年5月からトライアルシステム開発に着手している。検証結果を得るまでの期間は約1か月と想定された。
また、物流各社共通の部分はパブリッククラウド、コアコンピタンスでも企業体の中では共通で使いたいものはプライベートクラウドに集約することも検討されている。ここでもやはりESBを入れることにより、既存システムとプライベート、パブリックを繋ぎやすい情報システムにすることができる。
日立は、SOA、クラウドという流れの中で、ユーザーの情報システムの最適化を進めていきたいと考えている。その中で重要なのが見える化であり、そこからスタートすることを提案している。ユーザー課題にあわせて、各種のミドルウェア活用モデルを提供しているのは、導入により何が良くなるのか、実感してもらうためだ。また7月から、「ミドルウェア活用ソリューション」の中でSOAがフィットするかをアセスメントし、効果が見込めたらコアメンバーの教育やプロトタイプ検証などを行うスタータサービスを提供する。
SOAという概念の有用性が提唱されてから長い時間が過ぎたが、期待されたほどは普及していない。吉村氏は「SOAの安全性、効果に対する疑問は、日立が提供する事前の検証と、段階的にステップアップするノウハウを活用することで解決する」と語り、セッションを閉じた。