通る企画書の作成にはプレゼンを行う「相手」や「場面」、そして「プレゼン後の用途」に対する想像力が必要不可欠です。今回はそれら3つの視点から、企画書作成にあたり留意すべきポイントを解説していきます。

相手の好みは十人十色、プレゼン場面は多種多様
前回、企画書は「相手のメリット」を書くことが大切と述べました。問題は「相手」です。さまざまな業界があり、その業界の慣習や「何となく馴染んだスタイル」などの暗黙知があったりするのです。例えば、お堅い会社に、放送業界で使うような雰囲気重視の企画書を持ち込んでもなかなか厳しいものがあります。
さらに、業界だけでなく相手の「決裁者」の好みは十人十色です。完ぺきにプロファイルするのは無理だとしても、普段から相手のタイプを読んで理解しやすいスタイルの企画書を作成することが大事でしょう。
また、時間のない相手をつかまえて何とか短時間で説明する際、喫茶店や応接スペース、場合によっては立ったままプレゼンしなくてはならないこともあります。そうかと思えば、大きな部屋で多人数を相手にじっくり説明を求められる場合もあります。

「相手」と「場面」を考えると、最初に次のようなポイントに留意して企画書を作成しなくてはいけないことがわかります。
- 企画書の媒体を何にするか(紙・デジタルスライドなど)
- 企画書の構成・分量をどうするか
- 企画書のスタイルをどうするか(ワンシート・複数ページ・文章中心・ビジュアル中心など)
もう1つ、気がついているようで失敗するポイントがあります。それは相手にとって読みやすいかどうかです。読みにくいと不利になることは言うまでもないでしょう。プレゼン相手に年配の方などが多いとき、やたらと細かい文字で詰め込んで目をシバシバさせるような企画書はどうでしょうか? 意外とよく見かけますが、読み手のことを考えれば少しフォントを上げるなど配慮ができたはずでしょう。
プレゼンに使われて終わりではない
企画書は上記のような「場面」と「相手」を経て評価が下されるのですが、プレゼンに使われて終わりということにはなりません。むろん、プレゼンの場が一番大事なのですが、その後に提出先の社内決裁に回ります。そこで通らないとアウトになることもあります。すべてをクリアしたら、今度は現場に落とされて企画進行の基になります。
つまり企画書は
- プレゼンの場
- 「あちら側」での社内決裁
- 現場
と3度働くので、それを想像して作成すべきです。プレゼンに通った企画書はテンプレートとなるので、「こちら側」でもその後無数の機会で活躍することでしょう。
企画書は3度働く。作成の前に想像を働かせることが大切。
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藤木 俊明(フジキ トシアキ)
早稲田大学教育学部卒業(広末涼子やハンカチ王子の遠い先輩)。リクルート、ぴあを経て、現有限会社ガーデンシティ・プランニング代表取締役/明治大学リバティアカデミー講師。プレゼンツールの制作に定評があり、講演、セミナー活動の他、下記の著書を出版。とくに「明日のプレゼンで使える企画書・提案書のつくりかた」...
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