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仮想サーバ+仮想ストレージで実現するインフラ事例紹介

仮想インフラによる災害対策ソリューション 前編

企業にとって事業継続は非常に重要なテーマです。中でもITインフラの安定性、信用性、可用性の向上は、企業活動の継続とともに、社会的信用を守るという観点からも重要度を増しています。仮想化されたインフラで災害対策を行うと、どのようなメリットや特徴があるのでしょうか? この連載の第1回と2回では、構成方法や機能などを紹介しながら解説していきます。

はじめに

 企業にとって事業継続は非常に重要なテーマです。中でもITインフラの安定性、信用性、可用性の向上は、企業活動の継続とともに社会的信用を守るという観点からも重要度を増しています。

 通常、災害対策を行うには、それぞれシステム毎の要件に合わせてRPO、RTOを考慮しながら、『最適な方法』を検討していきます。検討時、鍵になるのはデータです。データを遠隔地へ移管させる手段次第で災害対策システムの導入方法も決定します。

 その意味では、災害対策システムの鍵を握っているのはストレージと言えます。SANストレージは、データ集約することにより、効率よくサーバ側の影響を受けずにデータを転送でき、RPOの短縮なども期待できるため、非常に有効な手段として認識されています。データの転送のみ確実にすれば、後はRTOに応じたシステムの切り替え手段を検討すればいいと考える事ができます。

 ところが、SANストレージによるデータ転送は比較的高価な製品を必要とし、またストレージ筐体の機能に依存してしまうため、構成面で柔軟性を欠くという問題点があります。この問題はコストの増大を招き、災害対策コストの最適化を困難にし、費用対効果や検討にいたる工数や負荷を考慮すると、なかなか導入に踏み切れない現状を作り出していました。こういった点から、ハードウェアに依存しない仮想インフラによる災害対策システムへの期待は高まってきました。仮想インフラで構成されるDRシステムは、対象システムの集約を高め、自由なハードウェア構成を容易にし、段階的な投資を可能にします。

 これから2回に渡って、仮想サーバとSANmelodyを組み合わせたトータル仮想インフラによる災害対策システムの具体的な方法を、事例や検証などを交えながら紹介していきます。

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ストレージから見た災害対策

 災害対策システムでのストレージの役割はデータを遠隔地に転送することです。データの転送方法は大きく分けて2種類あり、非同期型と同期型に分類されます。

 非同期型の場合、任意のタイミングでデータの同期転送を行うか、常に非同期でのデータ転送を行うため、比較的ローカルのI/Oパフォーマンスに影響を与えず、転送のための必要回線帯域も抑えられるのが特徴です。

 一方、同期型の場合、データとしてのRPO、RTOは短縮されます。しかし、遠距離での転送が直接ローカルのI/Oパフォーマンスへ影響を与えるため、転送のための必要回線帯域が比較的大きく求められるのが特徴です。

 いずれの手法においても、ストレージのブロックレイヤーで転送を行うには、ストレージのデータ転送と、システムの切り替えの連携が必要になります。しかし同時に、データの転送効率やサーバへの負荷、管理・運用性では非常に高いメリットを生み出します。

 データコア・ソフトウェア社製品であるストレージ仮想化ソフトウェア「SANmelody」には、災害対策システムに利用できる機能が複数あり、災害対策システムの各要件にあわせて選択することが可能です。また、ソフトウェアで仮想ボリュームを作り、仮想ボリューム単位の転送を行うため、ハードウェアに依存することなくリモートへのデータ転送が可能になります。SANmelodyによる災害対策システムは、SANストレージとしてのデータの集約や転送効率向上だけでなく、仮想ストレージならではの高い拡張性や柔軟性を備え、段階的な投資やコストの最適化を実現します。

次のページ
SANmelodyの災害対策機能

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この記事の著者

片山 崇(カタヤマ タカシ)

データコア・ソフトウェア株式会社  取締役 兼 セールス・マーケティングマネージャー成蹊大学法学部卒。アルゴ21において仮想ストレージ、SAN、バックアップ、災害対策、ストレージアセスメントなどのストレージソリューションの営業を幅広く経験。現在、仮想ストレージベンダーであるデータコア・ソフトウェアにて、様々な業種の...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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