大企業では10%以上の利用率、中堅以下への広がりに期待
12月6日、矢野経済研究所は、クラウドコンピューティング市場の調査結果を発表した。 同社が国内の企業・団体・公的機関等452団体に対し、自社のクラウド基盤であるプライベートクラウドの関心および利用率をアンケート調査したところ、「利用中」は3.8%にとどまったとしている。だが、「検討中」が7.4%、「関心あり(情報収集段階)」が28.4%となっており、これらを合計すると39.6%が関心があることになる。一方で、「関心なし」が41.8%、「わからない」が18.6%となった。
また、クラウド基盤であるIaaS、PaaSの関心および利用率については、「利用中」は2.5%にとどまった。だが、「検討中」が4.5%、「関心あり(情報収集段階)」が33.4%となっており、合計では40.4%が関心あり、となった。一方で、「関心なし」が39.5%、「わからない」が20.1%となった。
しかし、売上高規模別で集計すると、やや印象が変わってくるとし、売上高規模1,000 億円以上においては、プライベートクラウドの利用率は14.8%、IaaS、PaaS の利用率は11.1%になっている。「検討中」まで含めれば、プライベートクラウドで40.7%、 IaaS、PaaSは25.9%となり、ユーザーのクラウドコンピューティングに対する期待を感じさせる結果となっている、と分析している。
同社が実施した今回の調査結果では、全体としての利用率は低迷したが、中堅以下企業では、IaaS、PaaSよりも SaaSが中心であることから、単純にクラウドコンピューティングを否定することはできないとしている。 また、IT システムの普及は、大企業から中堅、中小へと広がりを見せるのがこれまでの経験則であり、クラウド基盤の利用についても、大企業への普及を契機に中堅以下企業へと導入が進む可能性はあるだろうと同社は分析している。
■参考情報
・矢野経済研究所ホームページ http://www.yano.co.jp/
・「クラウドコンピューティングの利用に関する調査結果 2011」http://www.yano.co.jp/press/press.php/000880