11月に翔泳社より刊行された『情報化白書 2012』(一般財団法人日本情報経済社会推進協会編)は、IT業界の現状を俯瞰することを目的として、最新トピックスからITに関連した法制度などに至る広範な記事を掲載している。このコーナーでは、『情報化白書 2012』の編纂に合わせて行われた調査報告などからまとめたレポートを紹介していく。第1弾として、『情報化白書 2012』の記事から『「企業IT利活用動向調査」にみるIT化の現状』を4回にわたって掲載する。
ITに期待する効果
基盤系技術22項目で「すでに導入/実施済み」と回答した企業に対して、導入目的について尋ねたところ、「コスト削減」が一番の理由とされたのは「プライベート・クラウド」ほかクラウド全般、「仮想化(クライアント)/シンクライアント」ほか仮想化全般など11項目(同列1位を含む)に及んだ。
「業務効率の向上」が一番の理由とされたのは、「ビジネス・インテリジェンス(BI)」など11項目(同列1位を含む)であり、「業務効率の向上」と「システムの機能/パフォーマンスの向上」が第一の理由として導入されたのは「エンタープライズ・アーキテクチャ(EA)」、「IPv6への対応」の2項目である。「コスト削減」、「システムの機能/パフォーマンスの向上」、「リスクの低減(セキュリティ対策、災害対策、コンプライアンスなど)」が一番の理由となったのは「ITILの導入」であった(図表7)。

それぞれの導入目的別に、実際に得られた効果を尋ねたところ、「期待を上回る効果を得られた」という回答はわずかであった。しかしながら、「コスト削減」、「業務効率の向上」、「システムの機能/パフォーマンスの向上」について「期待通りの効果」を得られたと回答した企業の割合は半数を超えている。
一方で、「期待を下回る」という回答はいずれの導入目的においても1割前後であり、基盤系技術の導入効果に対する満足度はおおむね高いといえるであろう(図表8)。

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大熊三恵子(オオクマ ミエコ)
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)総務部普及広報課 主任部員
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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