SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

月イチ解説 ITトレンド

ドコモを襲うモバイル・グランズウェル―解決の先に見えてくるインターネット3.0の世界

第2回


2012年1月25日、国内最大の顧客を持つNTTドコモが東京都を中心に252万人のユーザーに対してサービス中断というトラブルを起こした。ご存知の通り、ドコモの通信障害は今回が初めてではない。ここ最近トラブル続きとなっている。

行政指導、役員報酬の減給、苦難の続くドコモ

  2012年1月25日、国内最大の顧客を持つNTTドコモが東京都を中心に252万人のユーザーに対してサービス中断というトラブルを起こした。

 ご存知の通り、ドコモの通信障害は今回が初めてではない。ここ最近トラブル続きとなっている。ついに2012年1月26日、頻発するドコモの通信障害に対して総務省が行政指導を行った。この行政指導を受けた翌日にも、東北地方で通信障害が起きている。  

スマートデバイスの活況の裏で、悲鳴をあげるインフラ

 この一連の障害と、総務省の行政指導、ユーザーの信頼回復を目的として、NTTドコモは以下の対策案を提示した。 

・2014年度までに500億円の追加設備投資の実施

 2014年度までにドコモでは1140億円の設備増強を予定していたが、これに500億円を追加投資し、合計1640億円で設備増強を行う。これにより、 スマートフォン5000万台に耐えられるインフラを構築する。

・山田隆持社長ら六人の役員報酬の減額  

 山田社長が20%、辻村清行副社長ら五人は10%の減額幅で、三ヶ月間にわたり役員報酬をカットする。  

・グーグルへの打診

 スマートフォンの発生させるトラフィックの負荷増大の原因の一つに、Androidに組み込まれている、自動通信機能がある。ドコモによればAndroidは28分に1回の割合で、ユーザーが何の操作もしていなくても、定期的に通信を発生している。これが標準の状態で、ユーザーが個別にアプリケーションをインストールしている場合には、各々のアプリケーションからも自動通信が行われるため、トラフィック増大に繋がっているという。  

 ドコモは世界の通信会社と協調し、アプリ開発者へも通信頻度の抑制を呼びかけていく考えだ。

ドコモだけの問題ではなく、キャリア共通の問題

 一連の障害発生でドコモだけが苦しんでいるように見えるが、他のキャリアも「苦しい」状況は同じだ。スマートフォンはARPU上昇の武器ではあるが、総務省移動通信課の調査によればフィーチャーホンと比較したトラフィックは24倍にもなるという。スマートフォンも含めた全国のモバイルトラフィックは毎年二倍増加する。都心部ではこれが更に増え、毎年3.4倍も増加するのだ。

 急増するスマートデバイスのトラフィック対策だけでも大変だが、現在のモバイル・キャリアは大きく分けて以下四点の課題に直面している。

図:モバイル・キャリアの四つの課題 

 一つひとつの課題を解決することは容易ではないが、これらの課題をクリアすることで、モバイルの世界は次のステージへ駒を進めることになる。一連の障害発生は、まるで次の時代に移行するための「モバイル・グランズウェル(潮流)」だと筆者は感じる。

 今回は、この「モバイル・グランズウェル」の先に、何が待ち受けているのかを考察してみたい。

次のページ
従量制から常時接続への移行がインターネットのスタイルを変えた

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
月イチ解説 ITトレンド連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

大元 隆志(おおもと たかし)

ITビジネスアナリスト/顧客視点アドバイザー 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、 技術者、経営層、顧客の3つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。講談社 現代ビジネス、翔泳社EnterpriseZine、ITmediaマーケティング等IT系メディアで多くの記事を執筆。所有資格:米国PMI認定 PMP、MCPC認定シニアモバイルシステムコンサル...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/3765 2013/01/09 11:33

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング