モバイルとクラウド、基幹システムを統合
二つ目の特徴である「クラウドや基幹システムとの連携」は、デバイスの電子カタログのような限定的な利用だけでなく、外出先における在庫の確認と発注などバックエンドとの連携を伴うニーズに応えたものになる。担うのは「IBM WebSphere Cast Iron」で、Salesforce.com、Oracle CRM On Demand、NetSuite SuccessFactorsなどのクラウドサービスと、IBM DB2、SAP、SQL Serverなどの基幹アプリの連携を容易にする。「IBM Mobile Foundation」では、Worklightに新たに追加されたCast Ironアダプターにより、モバイルからCast Ironが容易に活用できるようになっており、デバイス側からはJavaScriptの関数の形で呼び出せば、バックエンドとの連携ができるようになる。一方Cast Iron側では用意されているテンプレートを使えば、プログラムを書くことなく、バックエンドへのアクセスやデータ加工が行われる。
また、モバイルからのアクセスだけでなく、基幹システムからの通知をデバイスにプッシュで通知する仕組みも備えている。「プッシュの仕組みはOSごとに違うため、個別に対応するのは非常に大変。Worklightを使うことで、OS非依存の共通化されたAPIによって通知機能を容易に構築できます」(須江氏)。その活用シーンは、ワークフロー内での承認通知、フィールドのエンジニアへの対応依頼など幅広い。
デバイスとアプリの両面でセキュリティを確保
三つ目の特徴が「セキュリティと管理」になる。「IBM Mobile Foundation」は、セキュリティをアプリとデバイスという二つのレイヤーでサポートしている。まずデバイス側は、一般的にMDM(モバイル・デバイス・マネジメント)と呼ばれている領域になるが、セキュリティという観点では、たとえば端末を紛失した時に端末画面ロックや、データ消去などをリモートで実行可能にしている。同時に端末インベントリーの管理や、位置情報取得、端末構成管理などの機能を提供する。
一方アプリ側では、端末上に残っているオフラインキャッシュの暗号化、改ざん防止、認証などのセキュリティ関連機能が提供されている。またモバイルのアプリの更新はダウンロードサイトにアップし、各ユーザーに作業を委ねるのが通常だが、Mobile FoundationではDirect Updateという仕組みにより、Worklightのサーバーから自動更新できるようになっている。また、何らかの不具合が発生した場合、特定のアプリの利用を一斉に制限することも可能だ。
先述の通り、日本IBMでは統合パッケージである「IBM Mobile Foundation V5.0」に加え、効率的なモバイルアプリの開発にフォーカスしたいユーザー向けに「IBM Worklight V5.0」単独でも販売している。それぞれにEnterprise EditionとConsumer Editionが用意されており、EnterpriseはB2E、企業が所有するモバイルデバイスやBYODなど、デバイス数が特定できる利用形態が対象になる。一方ConsumerはB2C、不特定多数のデバイスが利用する形態が対象だ。そのためConsumer Editionの方が、料金が高く設定されている。
その日本市場における活用シーンについて三戸氏は「限定できないほど、多種多様になると想定している」と語る。モバイルを管理するMDMの製品は数多く提供されているが、エンタープライズ環境を対象にした効率的なモバイルアプリ開発、バックエンドとの連携、そこで必要なセキュリティと管理をトータルにカバーした製品はまだ数少ない。それだけに三戸氏は「市場が立ち上がる今が大事」と気を引き締めている。
日 時 : 2012年7月19日(木曜日)10:00−18:00
会 場 : 品川プリンスホテル
東京都港区高輪4-10-30
参 加 費 : 無料(事前登録制)
主 催 : 日本アイ・ビー・エム株式会社