先行きが不透明な経済、3.11からの復興、厳しい雇用環境と少子・高齢化、年金不安・・・今の日本を取り巻く環境には不安が溢れている。それらの不安を打破する原動力の一つが「起業家精神とスタートアップの発想」だという。6月18日、東京・六本木でLinkedInの創業者兼会長リード・ホフマン氏と楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長が元NHKのフリーアナウンサー住吉美紀氏司会のもと、「日本にとってのスタートアップ」をテーマに語り合った。

ホフマン氏の著作『スタートアップ!(原題:The Start-up of You)』が日本で発売される記念イベントとして行われたホフマン氏と三木谷氏のパネルトーク。テーマは同氏の著作タイトルに沿った「日本にとってのスタートアップ」。
ホフマン氏は、90年にスタンフォード大学卒業後、米アップルコンピュータ、富士通を経て、Social Netを起業。そして2003年にLinkedInを起業した。またホフマン氏は投資家としての顔を持ち、Flickr、Last.fm、Facebookなどに出資している。そんなホフマン氏だが、同著作は起業する人だけに向けて書いたのではないという。
「いまや世界は非常に早いスピードで変化している。その変化に対応していくためには、企業も個人も起業家精神が非常に重要な要素となっている。この本はキャリアを考える上でも役立つはず。人はみな起業家たれ」(ホフマン氏)。
米国で起業家精神に触れたことが楽天起業のきっかけ

起業家精神に乏しいと言われる日本。三木谷氏もそうした一人だったという。同氏は米国の起業家精神に触れたことが、楽天を創業するきっかけになった。1991年から2年間米ハーバード・ビジネススクールに通っていた三木谷氏。
「そこで最も感銘を受けたことは、クラスメイトが起業家精神に溢れていたこと。これがイノベーションを起こし、ビジネスの原動力になっていることを実感した」という。その当時、日本興業銀行(現在のみずほ銀行・みずほコーポレート銀行)の社員だった三木谷氏。
「当時の日本はバブルの真最中で、私をはじめおそらく多くの日本人が、大企業の中で昇進することを考えていた。しかし米国で尊敬される人は大企業に入って出世をする人ではなく、小さな会社を起業する人だった。その文化に感銘を受け、いつかは自分も起業したいと考えた」と語る。
しかし退職の段階になっても、「これをやりたいという具体的なアイデアはなかった」(三木谷氏)という。「ただ日本の経済の活性化のために、新しい業界、新しい経済を切り開かなくてはならないという強い思いがあった。そこで当時の世間では懐疑的でしたが、インターネットビジネスで世界が変わるという確信が得られた。だからeコマースビジネスを選んだ」(三木谷氏)
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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