―名称が変わりましたね。
溝上 昨年は「INSIGHT OUT」という名称でしたが、商標権に問題があり、今年からは「db tech showcase」に改称しました。これに懲りて「db tech showcase」 はちゃんと商標登録しようと思います。このほうがデータベースの技術イベントだと分かりやすいので、かえってよかったのかもしれません。また昨年は「ビッグデータ」というバズワードを意識的に排除しました。基本的なシステムのパフォーマンス問題も乗り切れていないところが多いのに、いきなりビッグデータといっても具体性に欠けているからです。
それにアメリカのショーを見た人たちが企画するようなセッションはどれも似ていて技術者は飽き飽きしていると考えていたし、日本の大多数のお客様には要らないと思いました。そこでチューニングの基本やデータベースのアーキテクチャを解説する講師陣を招きました。例えばOracleで言えばTom Kyte。初めての開催でしたし、招待するのは大変でした。本当に来てくれるのかと心配でした。
今年のテーマは 「データベース技術者の "Rock" な叫び」、そして「ビッグデータ時代を生き抜け」
―今回のキーワードは「Rock」なんですか?
溝上 Queenの有名な曲に、"We will Rock you" っていう曲があります。訳すと「おまえの心を揺さぶるぜ!」という感じです。「Rocking Chair」というのがあるように、「Rock」には「揺さぶる」という意味があります。本物のデータベース技術者の言葉、特にデータベース製品そのものを作っている技術者の言葉は聞く人の心を揺さぶります。聞いているうちに「おれたちが一流の技術者になって、日本のITを支えて、日本を変えるんだ!」って心奮い立たされることでしょう。
実際、昨年の日立製作所のHiRDBのセッションはすごく評判でした。データベースを実際に作っている技術者には情熱やプライドがあるため、プレゼンに臨場感と深さがあり、参加者の心を打つのです。だから今年も日立の石川太一さんにお願いしました。
富士通のSymfowareも参加していただけることになりました。メインフレームの時代からデータベースの経験が長い松村量さんが登壇します。現役の開発者が自らの声で、高性能などに対して「ここまでこだわっている」ということを披露していただきます。
昨年の参加者からのリクエストが多かったMongoDBもお呼びします。これは、弊社社員が[サンフランシスコまで行って連れてきました。10genの開発者の解説や事例など、4つほどセッションを予定しています。
さらにいま大注目のVectorwiseという(TPC-Hで)世界最速のDWH専用データベースも開発者に来ていただけることになりました(結構、大変でした)。こちらも多くセッションを予定しています。ぜひ見てください。
昨年は排除した「ビッグデータ」というキーワードも今年は使います。今なら具体的な技術セッションが可能になったと見たからです。Oracle Exadataの著書もあるAlex Gorbachev氏やTanel Poder氏などのスペシャリストを招聘しました。
ユーザーのケーススタディセッションもあります。これなら間違いなく具体的ですよね。楽天のClustrix導入事例は大注目です。ほかにも業務システムでMongoDB、ASPサービスでVectorwiseといった事例も用意しています。
2日目の昼にはDB Online主催のパネルディスカッションがあります。Microsoft、IBM、SAPなどデータベースベンダーがRockに語り合うことになっています。きっと面白いことになると思います。
今年からスポンサー制度を導入・展示会も同時開催
―去年から一貫して、セールストークを禁止しているそうですね。
溝上 そうなんです。"No Sales Talk"―昨年から一貫しているただひとつのルールです。セッション内での製品紹介・ソリューション紹介は一切禁止としています。
今年よりスポンサー制度を導入したものの、このルールで本当にスポンサーになっていただけるのか、正直不安でした。お願いを始めてみると、たくさんの企業の方々に快く参加いただくことができて本当に感謝しています。
ただしまるっきり"No Sales Talk"というわけにもいかないので、製品を紹介するブースや展示会場内で製品セミナーを開催することにしました。参加いただく方が、テクニカルセッションでディープな技術を学んだ後、すぐに具体的な製品が見れるようにしています。
ほかにも展示会場内では2つ新しい試みを用意しています。1つ目は今年のOracle OpenWorld Tokyoでものすごく輝きを放ってたJPOUGの方々に展示会場を解放します。いま日本で一番"Rock"なデータベース技術者グループです。
2つ目は「スピーカーコーナー」。セッション後にスピーカーが参加者と自由にコミュニケーションをとるための場所です。アメリカと違って、日本ではあまりセッション中に質問をする人はいません。でも質問したい人はたくさんいるのです。マンツーマンで質問できる場所を用意しました。
いまや技術者は1つのデータベース技術を知るだけでは生き残れません。RDBだけではなくオープンソースも、NoSQLも幅広く知る必要があります。これだけ多数のデータベース製品の開発者が結集して解説するイベントはほかにありません。世界中のデータベース技術者の「Rock」な叫びを聞きに来てください。
注目のセッションはこれだ!
ここからはインサイトテクノロジーが特におすすめするセッションを同社 営業本部 高橋勇樹氏がピックアップして紹介する。
国産データベース
「日立製作所のHiRDBと富士通のSymfowareは地味ですが、実績のあるデータベースです。データベース開発者が直々に語る貴重な機会です。開発者としてのこだわりが感じられると思います」(高橋さん)
HiRDB:株式会社 日立製作所 石川太一氏
10月17日 14:00 - 14:45
ひとつのデータベースでは、夢を現実に変えられない! Human Dreams. Make IT Real.
「石川さんはものすごい熱い。HiRDBへの愛もすごく感じる方です。日立は、純国産の技術での開発にこだわっています。今年の6月には、ビッグデータ利活用のための超高速データベースエンジンをリリースしました。そのこだわりの話は、やっぱりおもしろいし、本当に感動すると思います」
Symfoware:富士通株式会社 松村量氏
10月17日 15:00 - 15:45
Symfowareコア ~レスポンス保証との戦い~
「松村さんは現役のSymfoware開発者。富士通は30年以上も日本の社会基盤を支えるミッションクリティカル領域でシステムをつくっています。「メイドインジャパンのデータベースSymfoware」の性能へのこだわりなど、その実力を存分に語っていただけると思います」
外国産データベースの国内事例セッション
日本での先進導入事例を3つピックアップします。まだClustrixをご存じない方もいるかと思いますが、楽天が導入を決めました。とても参考になると思います。ほかにもVectorwiseとMongoDBの国内導入事例を用意しています。
Clustrix導入事例: 楽天株式会社 矢田龍太郎氏
10月17日 16:00 - 16:45
Case Study: How Rakuten reduced Database Management spending by 90%
Vectorwise導入事例: メディカルデータビジョン株式会社 平井氏
10月18日 14:00 - 14:45
Real World Vectorwise Implementations
MongoDB導入事例: アカウンティング・サース・ジャパン株式会社 石川氏
10月18日 14:00 - 14:45
MongoDB インサイド SaaS型業務アプリケーション ~おまえなしではできなかったぜ~
人気のデータベース技術者が登壇
「日本で人気のデータベースのプロフェッショナルもお呼びしました。「男の中の男」、MySQL好きに知らない人はいないといわれる「漢(オトコ)のコンピュータ道」から今年も奥野さんが登壇します!ファンにはたまりませんね!またHPからは今年も後藤宏さんが再登場です。昨年大好評だったセッションを今年も同じタイトルで、強気の続編を展開してもらいます」
MySQL 5.6:日本オラクル 奥野幹也
10月19日 16:00 - 16:45
仮) MySQL 5.6 新機能
RDBMS:日本HP株式会社 後藤宏
10月17日 11:00 - 11:45
RDBMSはコモディティー化する!? クラウド環境に対応する実装とは