NASでOracle RACを本番稼働! 課題はさらなるリソースのプール化―リクルート
一般消費者に向けて多くの情報サービスを提供するリクルートグループは、そのビジネスの領域を大きく2つに分けている。車や住宅の購入、転職/就職、結婚、出産/育児などの"ライフイベント領域"と、旅行、ファッション、習い事、飲食、時事などの"ライフスタイル領域"だ。いずれのサービスも紙からオンラインへと事業の舵を大きく切っており、ITのパワーを効率良く利用することは事業の存続にかかわる。
そしてリクルートホールディングスの下、各事業会社に対してITソリューションを提供し、ビジネスへの実装を図っていく機能会社としての役割を果たしているのがリクルートテクノロジーズである。「ビッグデータ機能部門」「事業/社内IT推進部門」「UI設計/SEO部門」「インフラ部門」「テクノロジーR&D部門」「大規模プロジェクト推進部門」の大きく6つの部門で構成されている。
講演に登壇したリクルートテクノロジーズ 執行役員 CTO 米谷修氏は、2009年にスタートしたリクルートグループのデータセンター統合事業について紹介、それまで1,100台のサーバを4カ所のデータセンターで稼働させていたが、これを1カ所に統合し、NetAppのNAS製品「NetApp FAS6080」を使って960台に集約、2011年には統合ネットインフラ「RAFTEL」をローンチしている。
「統合前はデータセンターがばらばらに存在していただけでなく、各メディアのサイトごとに専用のストレージを用意していた。データ量が増加すればWebサイトごとにストレージを増設し、仮にリソースに余剰があっても他のサービスとは共有できない状況が続いていた」と米谷氏は2008年までの典型的なサイロ状況を振り返る。
統合後は「各WebサイトのサーバはRAFTEL経由でNFSによりアクセスが可能になり、複数のWebサイトが同一アグリゲートを共有することでリソースの利用効率が大幅に向上した。容量が不足した場合はアグリゲートの余剰リソースを割り当てることで、迅速な容量追加が可能になっている」と利用効率が大幅に改善したと語る。
この統合プロジェクトにおけるNetApp FAS6080の実装のポイントは「Oracle RACの共有ディスク」「スナップショットによるバックアップ」「SnapVault(リモートサイトに自動的にデータ転送する機能)による災害対策」の3点だったと米谷氏。とくにOracle RACに関しては「100台以上のOracle RACノードのデータをNASに配置して本当に動かせるのかという不安の声もあったが、秒間3,000アクセスの負荷にも難なく耐えられた」とのこと。NFSでアクセスが可能になり、データベースシステムの運用負荷が大幅に軽減したという。
NetApp FAS6080により大幅な運用効率の改善を果たしたが、現在、リクルートグループは増え続けるWebサイトへのアクセス数とデータ容量の急激な増加、それに伴うデータセンターコストの増大という新たな課題に直面している。そこで現行のネットインフラのアーキテクチャと機能を踏襲しつつ、現行のパフォーマンスの2倍を実現するという「NetApp FAS6280」を新たに採用した新インフラの構築を開始している。ここでのポイントは「ネットワークの統合/シンプル化、サーバ仮想化、そしてNetApp6280の採用」だと米谷氏。「とにかくデータ容量が増える速度が速すぎて追いつかない状態が続いている。ビッグデータソリューションの開発には今後さらに注力していきたい。またSSDとハードディスクを使い分ける階層型ストレージの検討やリソースのプール化もさらに推し進めていく」と結び、増え続けるトラフィックに対応していきたいとしている。