2011年11月に登場したクラウドデータベースサービスのkintone。データベースを用いて簡単にクラウド上にアプリケーションを作れる、国産PaaSサービスとして着実にユーザーを増やしている。そんなkintoneが、2013年3月に大きくバージョンアップをした。
新しいkintoneではアプリケーションがさらに作りやすくなった
新バージョンのコンセプトは2つ、より簡単にアプリケーションを作れるようにすることと、チームで行う業務の生産性を向上させること。

もともとアプリケーションを簡単に作れるのが、kintoneの大きな特長。それをさらに簡単にしたのが今回のバージョンだと語るのは、kintoneのプロダクトマネージャーである田村悠揮氏。そのための方法の1つが、アプリストアからの簡単インストールの追加だ。kintoneでは、サイボウズやサードパーティーベンダーが開発したアプリケーションをテンプレートの形で提供する「kintoneアプリストア」を開設している。ここにはさまざまなアプリケーションがある。
これまでは、利用したいアプリケションを見つけたら、サイトでそれを一旦ダウンロードし、自分でkintoneに適用してアプリケーションをインストールしなければならなかった。今回のバージョンアップでは、kintoneのアプリケーション作成画面にアプリストアボタンが追加され、それをクリックすればサイトに公開されているのと同じアプリケーションが一覧され、導入したいアプリケーションを選ぶだけでインストールが完了するようになったのだ。これですぐに利用を開始できる。
もう1つが、アプリケーション作成画面に追加されたExcelボタンだ。これをクリックし、手元のPCに保存されているExcelファイルを選択するだけで、簡単にkintoneアプリケーションに早変わり。データベースを構築する際に必要となるデータタイプの選択なども、基本的にはkintoneが自動で設定してくれる。手元に顧客リストのようなExcelファイルがあれば、それを指定するだけでkintoneに取り込まれ、すぐに簡単な集計処理が行えるクラウド型アプリケーションができあがるというわけだ。
「これまでkintoneを提供してきて、Microsoft ExcelやAccessから移行というのが5割以上ありました。こういった顧客の敷居を、もっと下げたいと考えたのが今回の拡張です。CRMやSFAなど、大規模なアプリケーションを導入していても、その周りではまだまだExcelを利用している場合がたくさんあります。それらをkintoneにしたいという要望に、応えたものです」(田村氏)
世の中ではビッグデータが注目を浴びているが、大企業ではその前に社内に散らばっているスモールデータを整理し集めて活用する。そこからアプローチすべきというのが田村氏の主張だ。
また、今回のExcelボタンの機能は、たんにExcelのデータをkintoneにロードするだけではない。前述したようにデータタイプの設定などが自動で行われ、アプリケーション化が行われるのだ。集計機能なども、自動的に付加される。この集計機能のところにも、サイボウズならではの工夫が施された。それが、お勧めの集計パターンの提示だ。
「データの中身を見て、このデータにはどういう集計が最適かを判断し、お勧めのものから順に表示します。このとき、普段では気づかないような集計パターンも出してくれます。つまり、新たな気づきを与えてくれる機能でもあります」(田村氏)

よく使われる集計パターンを、単純に提示しているわけではない。サイボウズラボでどういったデータに対してどのような集計が適切かを分析した結果を示している。評価関数を用いて解析しており、データに応じ適用すべきものを順に表示する。さまざまなパラメータが設定されており、重み付けを行っている。まさに、サイボウズラボの知見が込められている機能だ。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア